北斗の拳レビュー

核戦争によって文明が崩壊した(連載当時からみた)近未来、世の中は暴力が支配する恐怖の時代。
そんな時代に生きた「中国より伝わる恐るべき暗殺拳 北斗神拳」(by長老)の使い手ケンシロウの熱〜い物語。

‘83ごろ〜‘88ごろまで週間少年ジャンプで連載されていた作品。
かくいう私もリアルタイムで読んだわけではない・・・と思っ ていたら連載終盤の一部シーンはとびとびで微かに読んだ記憶がある。あとアニメ版が放送されていたのも僅かながら覚えて いるなぁ。

近年でもタイピングソフトになったり、アンチウイルスソフトになったり、男性用洗顔料やヒゲソリとタイアップを組んだり、オールカラー版のマンガが発売されたりと今日でも根強い人気を持っているようだ。
当時読んでいた人だけでなく若い世代の人たちにも人気はあるのかしらん。


で、内容はというと
「荒廃した近未来」という設定、登場人物の服装は「マッドマックス1及び2」
「あたっ!!あたたたーーーっ!!」な怪鳥音はブルース・リーから影響を受けているのは明らか。

しかし北斗の拳はそんな表面上の模倣だけに終わらず独自の“”や“哀しみ”を軸に熱〜いドラマや戦い、セリフが繰り広げられる。
あと力強く迫力のある絵柄と真顔でギャグシーンも作品のポイント。
名の無い一般の人物だろうと子供だろうと容赦なく殺したりするのも今となっては目新しい。


しかしこのマンガ、後半になるとあまり面白くない。具体的に は19巻辺りの修羅の国に入った辺りからだが理由を挙げてみると、

なにやら妙に回想シーンや後付け設定が増えてくる。
もちろん連載が長くなるとある程度後付け設定は全然構わないのだが、
ユリアが生きていた、と死んだ人を生き返らせてしまったという(個人的に)タブーを犯してしまった辺りから雲行きが怪しくなりだし、
リンの――初登場からかなり時間の経過しているキャラクターの――出生をいじってしまった辺りからもう確信的。しかもよく見るとそれがその後のストーリーに影響を及ぼしていないというのもちょっと・・・。
その後も回想シーンもやたら増えて、さらに大昔の話もしたりするものだからその場だけの人物も増え、混乱&クドさを感じる。


「男子の生存率は1%!!15歳までに百回の死闘をくりかえし〜〜〜」(byファルコ)という恐〜いところなはずの修羅の国。
ところがふたを開け話を進めてみると何のことはない、チンピラな雑魚はいるし、ガニガニ〜やアルアル〜なお笑い雑魚キャラまでいるではないか。
まぁきっと気付いたんでしょうね。“でてくるキャラ全てがものすごく強かったら話が進まない”と。浅はかな設定だったと。
あとケンシロウを強くしすぎてしまったからね・・・。


「修羅の国も終わって北斗の源流やケンシロウの肉親も既出。そのたびにケンシロウは強くなった・・・。これ以上ケンシロウと対等に戦える人物を登場させるのは難しくなってきた・・・。ちょっと志向を変えてケンシロウに人助けの旅をさせてみよう。」
と思ったかは分からないがとにかく熱い戦いは無くなった。そういえば魅力ある敵役もいなくなったような気がする。

突然雷に打たれて記憶を失うケンシロウ。いや、あたしゃホン トに唖然としましたよ。

・・・とまぁこんなもんですかね。

あとこれはいいとか悪いとかではないし後半に限ったことではないんですが、このマンガは女性が描けない

レイのセリフ「いいか 女は自分の幸せだけ考えていればいいんだ!」(4巻)、「女として生きろ 女の幸福を求めるのだ!!」(10巻)に象徴されているとおり、この作品に出てくる女性のほとんどは常に待つ身であり、助けを求め助けられる側であり、しょせん女は男の弱点であり行動動機に過ぎないという描かれ方。
もちろん北斗の拳の世界観上、腕力で劣る女性は弱い立場にあるにせよ、ちょっと気になる描き方であります。

悪い所を指摘する方が多い文章になりましたがワタクシ、北斗の拳が大好きですよ。好きなマンガベスト3に入るくらいに。


思えばこの黒タカ、北斗の拳がなぜ面白いのかなどそんなことは全く考えたことがなかった……
ただただ漢達の生き様、そして同時に死に様に熱く涙するばかりで……
そんな北斗狂のボクにはなかなかに新鮮な、
北斗の拳そのもののレビューをはぐれさんから頂きました。
はぐれさんは北斗と深く触れ合ったのが結構最近らしくて、
今風な視点からの見方が面白いですね。

原作者としてはラオウの最期で終わらせたかったらしいのですが、
しかしそうは集英社が許してくれなかった。
北斗の拳が圧倒的に面白いのは五車星登場からラオウ死去までですかね。
他は部分的に面白いと思います。

後に行くほどセリフ関係は洗練されて行くんだけども、
肝心のストーリーが着いて来れなかったから名ゼリフになり損ねた、
というモノがかなりあるのが残念。
実は有名な「オレの名を言ってみろ!」とかより良いセリフたくさん埋もれてるんですよね。

つまりその辺のセリフあさりが楽しく感じるようになってしまうと、手遅れというわけですな



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