トック氏が送る
ホラー映画レビュー




よさこいバカホラー


『よさこいバカホラーはこんな人におすすめ』


●アメリカ人女性はみんなして胸がDカップを優に超えており、湖で素っ裸になって泳いでいると信じている。

●キャンプ場は生と死が渦巻く危険な場所だ。近づいてはならない。

●ドイツ人は変態だ。

●かつらをかぶると人格が豹変する。かつらに関する怖い夢を見たことがある。かつらが作れる。

●女囚、ガータベルト、ゲシュタポ、ヤコペッティ、女さそり(蠍座の女性でもおおむね可)、これらの単語にピクリと反応してしまう。

●『この映画の殺人鬼は実在しており、FBIに指名手配されています』そんなうさんくさい宣伝が大好きだ!

●オダギリジョーを見て「ジョギリショック」という単語が頭に浮かび、やり場のない怒りで拳を握り締めたことがある。

●オシャレな映画監督、と言われて真っ先にトビー・フーパーorダリオ・アルジェントが頭に浮かぶ。

●デートの際、映画選択を敢えて微妙なラインで外しにかかってしまう。(ex『アメリカン・ビューティー』『ペイバック』『サムライフィクション』)

●ゾンビに市民権がないのが不思議でならない。

●『ジュラシックパーク』の心優しい考古学者が愛人に刺し殺された悪魔に見えてしまい、言ってること全部信用できなかった。

●『ハロウイン』は3が1番好きだ。

 

これらが1つでも当てはまった人は、きっと楽しめると思います。俺半分くらいかなあ。

 

FILE NO.1 ブラッディ・ポンポン



BLOODY PONPONS 1987・米

バカ度 ★★★ 変態度 ★★★★★ 女優度 ★★ ホラー度 ★★


タイトルで気づいたと思いますが、この映画はチアガールを題材にしたホラー。ポンポンだからね。ポンポン。
キャンプ場へ合宿に来たチアガール部員達が次から次へと殺されていく。さて、いったい犯人はだあれ?
13日の金曜日以後雨後のたけのこのごとく大量生産されたスラッシャームービーの1つである。

製作者の思惑はバレバレだ。

1・とりあえずキャンプ行かなきゃな、13金で流行ったし。

2・お色気シーン入れなきゃな。チアガール撮りたいからチアガールね。

3・ホラーだから人殺さなきゃダメっしょ、うん。

この時点でムカツいてしまう人はバカホラーを借りない方がいい。
俺は分かってビデオ借りたのだ。それは認める。バカとエロが欲しかったんです・・・・・・。ええ・・・、私がやりました・・・。

でまあ、色っぽいおねえさんが出てきてファックして殺されてファックして殺されて色々あって終わるんだろう、と予想しつつ。

この映画は俺の予想を大きく裏切った。もちろん悪い意味で。
特にチアガールを映すシーンが不味い。チアガールにポルノ的描写を混ぜたことで、
チアガールを不当に貶めている!という頭のネジが外れた主張では全然ない。
監督+カメラのチアガールに対する卑屈な眼差しだ。正面から描かないのだ。チアガールの色気を。なぜだ!
チアガールの色気って何?そう聞かれたら困ってしまうんだけど、少なくともこの映画のようなものではない。
それは全国のチアガールに向かって声を大にして言いたいし、こんなものを借りてしまってすいませんとついでに謝りたい。

カメラワークがやたら卑屈でいやらしい。もう痴漢盗撮に等しい。見てるこっちが申し訳ない気分になってくる。
え、俺、こんなもの見てダメになってるのではないか。違うんだ、そうじゃないんだ!俺はそんなつもりで・・・。罪悪感にかられてしまう。
ディヴァインの糞食いやシュマトケの割腹オナニーの方が潔い分マシ!

また真相がチアガールコンテストNO1の座を狙って繰り広げられる殺人劇、というのだから泣きたくなる。無駄にサスペンスしてるし。
主人公は人気チアガールで犯人はその親友。ラストは主人公が罪を全部被せられて、護送されちゃう。
「私は犯人じゃないわー!」と叫ぶ主人公を親友が得意げに眺め開脚ジャンプ!エンド。んー、けっこー足開くのねー。ちがう!

まあ・・・・・・ね、ここまではまだ許せる。許容範囲、或意味バカホラーの仕様。
そういう映画なんだな、と。我慢しながら見ればいいのだ。だがこの映画にはどうしても許せない部分がある。

いつまでたっても肝心のファックシーンがないのだ。いや、あるにはあるんだけど、チアガールは最初の方しか脱がない。
水辺でおっぱいボロンと出すだけだ。

じゃあ誰が脱ぐの?

チアガールのコーチが脱ぐ。

おばさんです。もうそら凄いおばさんです。あなたのおかんみたいな人ですよ!
ミドルティーンが「もう一度着てみたかったのよ」なんつってチアガールのコスプレして胸毛ヒゲハゲのおっさんとファック。
しかもガンガン腰振ってノリノリ。アウン!アウン!アウらぁぁあああ、なめてるのか!貴様!そこになおれ!


ちくしょう・・・・・・。やられた。完敗だ。

しかし、なぜ、おばさんファック?なぜ、ああも強烈に描く必要がある?

俺は見終わった後、一息ついて緑茶をすすりながら混濁した脳味噌で30分ほど考えてみた。


仮説その1 熟女スキ?


熟女どころじゃないので却下!(2秒)


仮説その2 ブラックコメディ?


バカのラインが微妙で笑えない。つーか引いた。狙っているとするならそもそも何のブラックなんだ。

うーん・・・・・・。

そうか!体育会系特有の軍隊式厳格さを皮肉っているのか!
厳しい規則と縦社会的な関係に云10年前コーチの性は抑圧されてしまった。
抑圧された性には代価が要求される。そのとおり、作中においても彼女は教え子のチアガールに厳しく接していた。
チアガールを虐めることによって、自らの内に溜まりまくった性衝動を発散させていたのだ!

ふと眼に止まったチアガールの衣装に呼び覚まされる記憶。はるか昔の自分を思い出す。抑えられない性への高まり。
しかしなんてことだろう、身体はもうおばさん。これがブラックでなくてなんだ。哀しい。ただひたすらに哀しい。
チアガールという分かりやすい題材を選ぶことによって、監督はもっと性に奔放になれ!と訴えているのだ。
コーチのようになるな!若い奴はやりまくれ!若さを満喫しろ!

んなわけないな。だったら素直にチアガールを綺麗に撮りやがれ。

うーん・・・・・・。

・・・・・・あ。

こんなもの借りて観ている俺がブラックね。ああ、うん、そう。

認めたくないので却下。


仮説その3 トラウマがそうさせたの。


チアガールをとらえたショットはやらしーのばかり。なみいる巨乳のチアガールをスルーし、正面から描いたのはおばさんファック。
ここから導き出される結論。学生時代にチアガールとエッチしたかったんだけど、できなかったんだ。
「どいつもこいつもアメフト部員とファッキンしやがって!」と妄想を抱きつつ「ああ、俺もやりてえ!」と悶々としていた。
監督にとってチアガールはサンクチュアリであり、アガルタであり、ニルヴァーナなのだ。決して犯してはならぬ、到達できない未知の領域。

嫁さんにチアガールのコスプレとかさせてんのかな。うーん、想像してみるとホラー。アメリカでもイメクラってあるんでしょうか。

或意味現実の厳しさ、そしてチアガールに対する愛を描いている。屈折してるけど。
届かないから夢なのかもしれない。でもこんな夢を映画にして欲しくはなかった。


『結論』 痴漢変態ホラー


FILE NO.2 ラストサマー

ラストサマー

I KNOW WHAT YOU DID LAST SUMMER 1997・米

バカ度 ★★★ 変態度 ★ 女優度 ★★★★★ ホラー度 ★★★


スクリームのヒットに乗じて撮られたケビン・ウィリアムスン脚本映画。

彼の座右の銘は「ハロウインが僕の市民ケーンなんだ」らしい。マジですか?ジェイミー・リー・カーチスが好きなだけじゃなくて?
スクリームはホラー界の安田猛と称される変化球監督ウェス・クレイブンで成功したが、果たして今回はだいじょうぶなのか。
不安いっぱい。(ちなみにルチオ・フルチはホラー界の園川一美)

おおまかなストーリー。
高校卒業したての4人の若者が飲酒運転でおっさんを轢き殺してしまい、警察に出頭せず、そのまま死体を運んで海に捨ててしまう。
1年経って無事隠しおおせたと思ったそのとき、4人の元へ脅迫状が届く。

「I KNOW WHAT YOU DID LAST SUMMER(お前らがやってることは全部すべてまるっとお見通しだ!)」

さー大変、誰が犯人なんだROU?

スクリーム以後再び量産される「なんちゃってサスペンスホラー」の先陣を切った作品。
今風の音楽流してオシャレな大学生やら高校生やら出して、謎解き要素を含みつつホラーしてみました、という。
80年代流行ったスラッシャー・ムービーをより若者向けに開き直って模倣してる。
それゆえに90年代でありながら古典、同時にノスタルジイを感じさせ、ご多分に漏れず若手アクターのプッシュ映画。
(ジェニファー・ラヴ・ヒューイット、サラ・ミシェル・ゲラー、ライアン・フィリップ、etc)
パレードの中で描かれる殺人、脱衣場に迫り来る殺人鬼、知り合いの死体が現れ消える。どこかで見たような演出が次から次へ出てくる。
それでもホラーとして一定レベルの水準に達しているのは、一重に役者のがんばりと、映像の美しさ。
特に氷から死体がザバッと出てくるシーンは綺麗に撮れてる。舞台は田舎の港町、潮の匂りが漂う。
嗅覚を刺激する映画はスキ。海へ行けば海の匂い、山へ行けば土と森の匂い。病院へ行けばアルコール臭。

ただ肝心のサスペンス部分がヤバイ。まるでダメ郎だ。
まるでダメ郎なサスペンスとは「それできるけどさぁ〜」もしくは「で?それが何か?」そう思わせたらサスペンスは負け。
上質のサスペンスは「全然きづかなかったよ!」「スゲえ!そうだったのか!」
積み上げられた複線が一瞬で消化され、観客は壮大なトリックに驚き、製作者に敬意を払う。
これを逆ベクトルに最大級伸ばすとデビッド・フィンチャーの「ゲーム」になる。すなわち、ふざけんな。

どちらにも属さない中途半端なサスペンスほど観客の興をそぐ。
なぜなら観客のサスペンスへの参加時間が長いから。特に犯人探しのようなものは。
受け手の思考を操作し、それに見合うだけの終幕が必要。だから凄いですよね。ミステリー書ける人って。職人ですもんね。

ラストサマーは「それできるけどさぁ〜」に属する。散りばめられた謎が解明されるものの、感動につながらない。
餌をまく段階でやや失敗した感なきにしもあらず。それから犯人の造詣がサスペンスに向いてないような。モンスター寄り。
語弊があるか。犯人に人間性を感じない。すなわち動機に真実らしさが見い出せず、必然性も感じない。

逆にここが両立(ホラーのモンスターとサスペンス的犯人)していれば佳作になったハズ。惜しい。
この手の映画の中では金かけてて映像が綺麗なだけに。
サスペンスの見せ方だけで言うと『ブラッディ・ポンポン』の方がマシかもしれない。(ちなみに『血のバレンタイン』は「で?それが何か?」)
犯人を知りたい人は映画を観てください。たまになんとかロードショーでやってるんで。

映画全体はひとまずおいとこう。ラストサマーでなお残るであろう話題を3つ挙げるとするなら

1・可憐で華奢な清純派、ジェニファー・ラブ・ヒューイットの芸術的な胸。

2・お前いくつやねん、と言いたくなるサラ・ミシェル・ゲラーのエロさ。

3・犯人はなぜボンネットに大量の蟹を詰め込んだのか?アホか?

この3点に絞られる。間違いない。

上の2つに関しては映画を観てくれれば分かると思うし、胸すごいね、エロイねで終わってしまうので敢えて触れない。
最後の疑問。なぜボンネットに蟹が詰め込まれていたのか。ここだ。なぜだ、なぜなんだ。

問題のボンネットに蟹事件、「マックスが怪しいぜ」「どうすんのよ」「これから対策を考えよう」4人が集まって作戦会議。
ジェニファーが輪から離れ、何気なしにボンネットをガコンと開く。
すると中には脅迫者と疑わしきマックスの死体が!そして彼の死体を埋め尽くす無数の蟹!蟹!蟹!


か、かに?


キャッーー!!と悲鳴を挙げ、助けを呼びに走る。しかし帰ってくるとボンネットはもぬけの殻。死体どころか蟹までいない。
すべて白昼堂々のできごとである。


かに、いらねえ。ていうか意味、ないじゃん。



蟹って怖いですか?間抜けじゃないですか。海の幸じゃないですか!
驚かそうったって、実際にボンネットから大量の蟹出てきたら笑いますよ僕。かにー!かにかにー!はははかにー!
もういっぺん見たら消えてる。そこでまた爆笑でしょ!かにー!かに消えた!かにー!

で、映画ではそれからどーなるのかなー、と思って。

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「おい!辺りを探せ!大量の蟹を袋につめて運んでいる奴がいるはずだ!」

「ラジャー!(ビシッ)」

「ラジャー!(敬礼!)」

「アイマイミー!(にっこり)」

−2分後−

「おい!こっちに来てみろ!蟹だ!蟹味噌がこんなところに!」

拾って匂いをかぐ。

「ああ、まだ遠くには行ってないな。この先だ!手分けして探してくれ。ちくしょう!絶対とっつかまえてやる!」

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こうなると思った。
ところがみんな神経まいってんだか、びびっちゃって、「隠れてないで出てきなさいよ!」とジェニファーが両手広げて雄たけびを挙げる。
今まで通り真剣な雰囲気で普通に流れてしまう。マジ演出。かにシーンだけ浮きまくり。わーい。

このシーンとかぶったのが韓国映画のJSA。あの映画ところどころで微妙に外してる。
女検察官が意味もなくダーツやってたり、兵隊がエロ本拾ってウハウハ言ってたり(文化の違いを表してるのか知らないですけど)
聞き込み先で何の関係もなくキグルミ出すんですよ。38度線云々やってるのにキグルミですよ。うさぎ?たぬき?俺はうさぎ派かなー。

ちなみにこれ映画館で観ました。曲提供者がちょっと豪華でKULA−SHAKERのHUSHがエンドクレジットで流れてる。
ハッーシュ!ハッーシュ!KULA−SHAKER解散しちゃったけどね。
ブラック・サバスも怒ってますよホントに。「なんで蟹なん?」

『結論』 なんで蟹なん?


FILE NO.3 死霊の盆踊り



ORGY OF THE DEAD 1965・米

バカ度 ★★★★★ 変態度 ★★ 女優度 ★ ホラー度 ★


この映画は貴重だ。女の裸が出てくるのにどうしようもなく眠くなる、という点で。
考えてみて欲しい。実生活でそんなことがあるか。いや、ない。

そんなわけで一度寝てしまったこの作品、見た当時は高校生の頃だったか、ホラーの有名どころは子供の頃に見尽くしていたので
バカホラー、恋愛・ドラマ、青春・コメディ、に手を出していて。ちょうど映画離れしてた時期でした。今よりは見てたけど。
で、俺は基本的に映画を見て寝ない。せっかく作ったんだからきちんと見ないとな、と柄にもなく考えてしまう方なので。
当時は「時間がもっと欲しい!」と思っていたので、けっこうハードなトレーニングにも関わらず毎日あんまり寝てなかったんだけど、
それでも映画は眠らずに見れた。しかし「死霊の盆踊り」は寝てしまったのだ。たぶん映画館で見ても寝てしまうと思う。
これ、劇場公開作品なんですね。よくやってたよなあ、こんな映画を公開ロードショーで流せるなんてすっげえ世の中だと改めて思う。
またやって欲しいな。こういうのがないとつまんないし、バカがやれるって映画業界自体がいい状態にあると思うので。

ところで、超がつくバカホラーにはいくつかの特徴があって、該当作品のほとんどは次に挙げる要素を満たしている。
スクリームのランディみたいなこと言ってるけど、だってそうだもん。

●バカップルが襲われる。(カップルは×、バカップル限定)

●ストーリーに関係ないSEXシーン、お色気シーンが登場し、しかも全然エロくなく、おまけにストーリーそのものをぶった切る。

●狙っているのか狙っていないのか判別しかねるシュールな笑い。

●唐突によく分からないシーンが挿入され、眠気を誘うほどダラダラ続き、説明されないまま終わる。

●まったく怖くない。まったく驚けない。たぶんスタッフにやる気がない。

「死霊の盆踊り」はこれらの要素全てを兼ね備えたキングオブダメ、ダメ映画の頂点。バカホラーの貴公子。
ちなみに原作・脚本エド・ウッド。ダメ映画界では超有名人。さすが。まず、何がダメかと言うといきなりダメなのだ。

バカップルが車に乗って墓場へ向かうシーン。日が照りつける荒野。どうしてわざわざ墓場行くんだよ。そこは敢えて問わないでおこう。
しばらくして説明が入る。なんとこの男はホラー作家なのだ。映画に出てくるホラー作家ってバカっぽいよね。ケーンもそうだし。
なんででしょうね。墓場に行く理由「ホラーを書くには夜中の墓場が1番さ!」ああ、そう。ふーん。

カメラが切り替わり、車内が映される。車の中は真っ暗だ。いったいいつの間に夜中になったのだろう。まあいいや。
「ねえ、やめましょうよー、夜の墓場は危険だわー」と彼氏を止める女。またまた画面が切り替わる。

荒野に囲まれただだっ広い道路を走る車。


え?・・・・・・昼・・・・・・じゃん。


えっーーー!?

一瞬眼を疑ってしまった。画面はまた車内に戻る。真っ暗だ。誰が見ても夜だ。

おかしい・・・俺の見間違いだろうか。またシーンが切り替わる。全景を捉えたカットへ。真正面から走ってくる車。


昼じゃねえか。


ああもうおなかいっぱい。

つまり、めんどくさいからか狙っているのか、車内は暗闇であるにも関わらず、カメラが引くと昼なのだ。
滞在期間分の費用が捻出できなかったの?いや、なんとかなるだろ。照明器具の問題?うそ。やる気の問題じゃないのか。
でもこれって凄く新鮮。(うっとり)カットバックで昼夜が切り替わる。
映画におけるツッコミ待ち技法の完成形と言ってもいい。まさに抜け穴。コロンブスの卵。

他にもしょっぱな闇の帝王クリスウェルなるただのおっさんが登場するんだけど、
カンペ見ながら喋ってるのがバレバレで、完全な素人。
カンペ見ながらしゃべれ!って言われたんだろうな。その辺の徹底振りは凄いと思う。まさかマジでやってないでしょうね。

とまあ、これは予想以上に凄い作品なのではないか、と俺の中に逆ベクトルの期待が湧いた。
そう、元々まっとうな感動など期待しちゃいない。バカだ。バカを見せてくれ!

「墓場は怖いからやめてよー」と懇願する妻の意見を聞き入れ、夫は戻ろうとUターンする。
グインとUターン・・・・・・、しまった!アクセルふかし過ぎた!そのまま谷底に転落。ああ、うん。はい。

落ちたところは墓場。2人は気絶しているものの、なぜか無傷。倒れっぷりがいいね。

そこへひょいと復活した闇の帝王。帝王はワイフを呼び出す。出でよ!闇の女王!
真っ黒な衣装を身にまといデビィ婦人登場。2人はこれから宴を楽しむらしい。盆踊りと言うだけあって踊るのだろう。

どきどき。わくわく。この辺り、まだ俺のテンションは高かった。強烈に香り立つバカのにおい。

さあ、闇の宴とは?

デビィ婦人がいでよ!と指をビシッ!

あっ・・・浅黒い素っ裸のネーチャンが出てきた。あっ・・・・・。

踊り出した。これか!これが闇の宴か!

〜5分後〜

なげぇー、まだ踊ってるよ・・・・・・。早く次行けよ・・・。この女優、全然色気ないし・・・。

やっと終わる。次に出てきたのは闇に生きる女。赤毛の忍者みたいな格好してるけど、なんだろうね。

ぶいん。と身体を回して、はだけ、ぬぐ。踊る。踊る。踊る踊る。服を脱ぎ捨ておっぱい振り乱して踊る。

〜5分後〜

ちょっともぉ〜〜、ねぇ〜〜、ヤバいよ〜。だるいよ〜。長いよ〜。

やっと終わる。またデビィがビシッ!黄金を愛する女!金髪の女がモデル風に歩き、またしても脱いで踊る踊る踊る。

〜5分後〜

ちょっとマジで、いいから、もう。おっぱい夢に出るから。

やっと終わる。そしてバカップル捕まる。すでにどうでもいい。

次に出てきたのは猫の着ぐるみをかぶった女。おっぱいだけ丸出し。踊る。踊る。踊る。

闇の帝王が女王に呼びかける。

「猫はムチで打たねばなあ」にゃにゃにゃにゃにゃー!!!にゃー!にゃにゃにゃにゃー!!!

ピシッ ピシッ ピシッ 

〜5分後〜

やられた!さてはこいつら、俺を眠らす気だな!

やっと終わる。耐えた。どうだ、耐えたぜ・・・・・・。次に出てきたのは・・・・・・奴隷女?

「奴隷女が拷問されるのは好きだなあ」

兵隊がムチで ピシッ ピシッ ピシッ


気がついたら、テープが巻き戻っていた。


目を覚ましてから再見してみても、展開はまるで同じ。衣装と踊ってる女が変わるだけで。
ラスト近くはデビィ婦人も脱ぎ出してゆらゆら踊り出すんだけど、これと言って変わりはない。だからなんだ、なんなんだ。
バカップルもバカップルで「大学のパーティーかしら?」「大学生には見えないなあ」とくらくら来てしまう会話ばかり。
ありったけの踊りを見せた後は、朝日がさして死霊達が骨になってしまう。エンド。これで終わり。こんなのが91分もある。
15分でできる内容を約6倍に引き伸ばしている。

で映画の肝、踊りがどうかと言うと、タルイ音楽と共にたらたら踊るだけでキレがない。
死んだ目をしているオリックス小林のストレートを見ている感覚に近い。ほうら、眠くなってきた。
えーとね、もっとわかりやすく形容するならやる気がないスリラー。
マイケルジャクソンがスリッラーッー!スリラーナイッ!なら死霊の盆踊りはすぅりぃ〜〜らぁ〜〜すぅりらぁ〜〜ない〜〜。太極拳。

ただ逆に凄いと思ったのは明らかなエロ行為(極端なアブノーマルでもなく)を映していて、
女優がそこそこの人選(もろショーガールみたいだけど)にも関わらず、まったくエロくないんです、この映画。
絶世の美女まではいかないけど、みんなブスではないし、冷静に考えるとスタイルがいい女優もいる。
でも色気・妖艶・淫靡・官能、その手のイメージとは完全に違う地平に立っている。なぜなんだ。
これだけ裸を撮ればどれか1つはエロく撮れてしまうはずなのに、女の裸が軒並み穴の空いた靴下程度の価値しかない。
ようするに、この映画はポルノムービーにもなっていない。たぶん意図的に抜こうと思っても抜けない。
チャレンジャーはビデオを借りてやってみてください。自己責任で。借りるだけで一苦労とは思うけど。

人間の三大欲求は食欲・性欲・睡眠だけど、性欲を狙っているように見せて外し、睡眠が促される凄い映画なのだ。
日本で公開されたのはバブル真っ只中の時代でした。一瞬リメイクしたいと思ってしまったんですけど。
「異邦人」のメロディで行こう。曲を知らない人は検索すればどこかのサイトのMIDIで聴けると思います。


子供たちが空に向かい〜♪(ドライアイスを炊きながら全裸の女性が不敵に登場。顔は化粧で真っ白)

両手をひろげ〜♪(いきなりコマネチポーズで大またびらき!や、やばい!見えてしまう!)

鳥や雲や夢までも〜♪ つかもうと〜している♪(とそこへ大事な部分を隠すように大量のはとが乱入!はと!平和の象徴!)

その姿は 昨日までの何も知らない私〜♪(はとがばさばさ飛び立つと股が閉じて恥じらいのポーズ!セーフ!)

あなたにこの指が 届くと信じていた〜♪(イカのように踊る)

空と大地が ふれあうかなた〜♪(両手を大きく広げ白鳥のポーズ。胸を強調する)

過去からの旅人を 呼んでる道〜♪(いきなり走り出す!飛ぶ!バレエダンサーのように飛んで回転!)

あなたにとって私 ただの通りすがり〜♪(モデル風に背を向けて歩き、何かを思い出したように振りかえる。はっ・・・)

ちょっとふり向いて みただけの異邦人〜♪(イカのように踊る。さいごに悩ましげなひねり)


真面目にリメイクする気ないでしょ。

うん。


『結論』 裸踊りとは、裸になった人間が異性に対しエロスを感じさせないようにするための行為である。


FILE NO.4 悪魔のサンタクロース 惨殺の斧



Silent Night, Deadly Night 1984・米

バカ度 ★★ 変態度 ★★ 女優度 ★★ ホラー度 ★★ 墓標度★★★★★


ロボトミー手術くらい受けないとヤバイ宗教って抜け出せないと思う。
それくらい宗教は怖いし、ミイラ取りがミイラになってしまうのだ。


宗教者 「あのー、お忙しいところすいませんが、あなたの幸せを祈らせてほし」


トミー 「あめりかー」


話通じないもんね。ていうかこれヤバイね。倫理的に問題ある。ごめんごめん。
言いたかったことは宗教は怖いんです。そしてそんな宗教の怖さを描いたのがこの映画。
サンタクロースが殺しにやってくると。何処が宗教の怖さやねん!まあまあ。

主人公は幼き頃にサンタ姿の暴漢に両親を惨殺されてしまい、修道院にあずけられる。
そこで叩き込まれたキリスト的な禁欲主義によって自らの性を歪めてしまう。
そして大人になって社会に出ると、なんてこった!周りはやりまくりじゃないか。
もんもんしながら、クリスマスの夜にたまりにたまった欲と怒りを解放させるべく、
両親を殺したサンタクロースの姿(バイト衣装)に身をやつし殺しを始めるのであった。

死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね死んじまえ〜!ヤリチンヤリマン死んじまえ〜!
そんな呪いの言葉が聴こえてきそうな映画です。

冒頭のサンタクロースに殺される場面は子供が見るとトラウマになるんじゃないかなー。
そんなにグロシーンはなくて、遠くから捉えたショットなんですけど、やっぱりサンタさんだから。
びっくりしますよ、サンタの格好した奴にいきなり殺されたら。メリークリスマス!ばちゅん!
そういうわけで、この映画はアメリカで抗議運動が巻き起こり、いくつかの州で上映禁止処分を喰らってしまいました。

でもこういうことは実際ある。殺しじゃないけどね。
というのは、知り合いで、宗教やってる人でセックス関係の悩みを持ってた人を知ってるから。
カルトじゃなくてキリスト教。問題は周りの子より遅れてしまうとか、彼氏の要求を拒否できないとか、セックスに対するあこがれとか、
いろいろあると思うけど、1番重要なのは、したいのに、愛してるのにできないってこと。それって辛いよなぁ、と思ってしまった。
どっかゆがんでしまう。歪むという使い方が正しいのかは分からないけど。現実に生きてる人間苦しめちゃ、不味いですよね。
決していい方向に向かわない。

とまあ、真面目な話はおいといて、たぶん宗教にあんまり興味がなかったり、
宗教関係者と関わったことがない人が見たらバカ映画だと思います。

斧を振りかぶり、ボーガンを装着し、性なる夜と化したクリスマスに仕置き人と化す!
まさに元祖死ね死ね団(稲中)。13金に代表されるスラッシャーを分かりやすい形で発展させた映画。
別にいいやん、やったって、っていいたくなってくるのも相変わらず。
「セックスはおやつのようなもの。あったら楽しいけどなくても生きていけるのよ」とは知り合いの女性の言ですが、
うーん、上手いこと言うなあ、と思いつつ「おやつ食いたい」のが人間の性。
ドリフの『真っ赤な封筒』でも聴いてれば・・・しょぼーんサンタで済んでいたのかなあ。そんなに単純なものでもないか。

結局トチ狂って殺しまわり、最後は修道院に乗り込みます。全ての元凶である院長をぶち殺すために。
しかしそこには警察が張っていて、あえなく青年は撃ち殺されてしまうのでした。おしまい。
このラストシーンはなんというか、刑事ドラマで殉職したみたいなやるせなさ。もろそんな感じ。
かと言って「なんじゃこりゃああああ!」と叫ぶわけでもなく、踊る大捜査線のように室井さんが迎えに来るわけでもなく。

いいじゃありませんか男なら〜 何をくよくよするものか〜 真っ赤なふんどし引き締めて〜 行くぞこの道どこまでも〜

ほんとにほんとにご苦労さん!


『結論』 ノーモア宗教!


FILE NO.5 シュラム



SCHRAMM 1993・独

バカ度 ★ 変態度 ★★★★ 女優度 ★★★ ホラー度 ★★★★ チンコ痛い度★★★★★


映画に入る前に心理テストを少々。

問 あなたの前に宇宙人が現れました。その宇宙人の印象、宇宙人に対してどう接するかを答えてください。

解答例(自分の解答) なかなか面白い。中身はどうなっているんだろう。弱点を探す。

意味は後ほど。ちゃちい心理テストが終わったところで、映画の紹介します。
監督ユルグ・ブットゲライト。そう、ネクロマンティックの監督さんです。
今回は連続殺人鬼物を手がけるということで、期待して見たんだけど、これがまたあっち方面に磨きがかかっていた。

物語は殺人鬼の一生をまとめたもの。
主人公の連続殺人鬼がはしごから足滑らせて頭打って死にます。死ぬ間際に走馬灯がめぐる。
その一瞬を表したのが本編。哀しいお話です。

で、この連続殺人鬼、相変わらずロクなもんではない。シュマトケ以下です。
口紅殺人鬼と呼ばれる彼は低身長、短小包茎から来るコンプレックスから生身の女性にまともに接することができない。
夜な夜な街行く女性を襲って、殺した上に口紅でメイクアップし死姦を楽しむ。ああもうこの時点で終わってる。

彼の隣には娼婦が住んでいて、これがまたいかにもビッチ!という女なんですが(女をビッチに見せるのが上手いね)、
彼女は職業柄日ごろ男を呼んでセックス三昧。当然隣の彼の家にも壁づたいにきこえてくる。
ギシギシアンアン!ギシギシアンアン!
ぼ、ぼくだって!ぼくだって!と思う殺人鬼は娼婦を買いに隣に行く、なんてことはなく、
ギシギシアンアン聴きながらダッチワイフとギシギシ。当然アンアンはなし。発射後は風呂場で洗浄。うーん・・・さびすぃ。

で、どんどんおかしくなって行き、幻覚症状が出てきます。すなわちグロシーンがいっぱい出てきます。
目をえぐられる、自分の脳味噌が洩れる、両足切断。
なかでも凄かったのは、チンコに釘打ちます。いたっ!いたたたたたっ!
なんでそんなことするんですか。頭大丈夫ですか。いったいどうして?
マ×コお化けが襲ってくる。ピキッー!とか言いそうな奴が。
それがかわいらしいチンコを今にも食べようと・・・。うわぁああああああああああ!怖い!マーくん怖い!
友達じゃない。明らかに好戦的。敵。マ×コ敵。チンコ対マ×コ。ゴジラ対ビオランテ。

確かによく考えてみるとグロテスクっちゃーグロテスクですよね。ホラーの題材にしてもおかしくない。
でも人間の身体というのは平等にできていて、チンコもマ×コも両方グロテスクじゃないですか(剥けてたら)。
どちらかだけやたらかっこよかったら絶対不都合が起こるし、世の中大変なことになってますよ。絶対差別されてる。
例えば男のだけ醜かったりしたら、小汚い性器を持つ男性は人間的に女性より劣っているのである、
そんな風に言い出す人が出てきそう。そして社会的にも迫害されそう。

「あんないびつな形をしたうつぼのお化けみたいなものを持つ男は同じ人間として認めません!」

「そんなこと言われても・・・・・・ついてるから仕方ないじゃないですか」

「いいですか、これは神の意志です。美しい性器を持ち母体となる女こそ、男を支配するに相応しいのです」

「くっ・・・ここまで言われて黙っていられるか!みんな立て!勃つんだ!勃つんだッッーーー!!」

怖いなあ。よかったなあ。どっちもグロテスクで。

話戻して、そんなこんながありながらもついに娼婦を部屋に連れ込むことに成功するわけですが、
金払わないんですよ。睡眠薬で眠らせちゃう。やらせてくれるんですよ。金払ったら。
で、寝てる姿を見てオナニー。オナニー。オナニー。うわーいやなもん見た。
この人の映画を見ると、例えどんなことがあっても金払って女とヤリたくないな、と思うから不思議。

結局、ネクロマンティックと一緒でドラマ部分はしっかりしてる。撮り方も上手くなってる。
死ぬ間際に思い出すのが惨めな姿ばかりってことで、カタルシスもある。
でもグロシーンや死姦に対するこだわりはどうしても捨てきれないのか、
同情なんかいっさいいらない!と開きなおった姿は潔くすらあります。
その潔さがあだとなり、またも本国で上映禁止処分を受けてしまいましたとさ。あははは。

あ、心理テストの答えは、初めて異性の性器を見た時の感想と対処。
だからなんだって言われたら困っちゃうんですけど、女の子で「釘打つ」とか言う人がいたら怖いなあ、と思った。


『結論』 なんでそーいうとこ凝るかなあ、ブットゲライト


FILE NO.6 バッファロー’66

バッファロー’66

BUFFALO'66 1998・米

バカ度 ★★★★ 変態度 ★ 女優度 ★★★★ ダメ度 ★★★★


ごめんなさい、全然ホラー映画じゃないです。ノーマルレビューでやればよかったかな。
ギャロが監督・脚本・音響全部やってる自作映画。
なんでバッファローがバカホラーなんだよ!うるさいよ。なんだろうな、クリスティーナ・リッチつながりで。
アダムスファミリーで嫌なガキ演じてたクリスティーナ・リッチがぶっとくなって帰ってきた!
アダムスファミリーはホラーかよ。じゃあ将来嘱望された子役がいつのまにか汚れてしまったドリュー・バリモアつながりで。
ドリュー・バリモアも初めは「炎の少女チャーリー」でデビューしたんだからいいじゃん。
まあいいや、ついでに紹介しとけってな感じで。

バッファロー’66はすごーくキュートなダメ人間映画だ。母性本能くすぐられまくり。
ギャロを守ってあげたくなる女性は多いはず。まんま、オシャレでカッコイイのび太だ。

ダメ人間なギャロの純粋な部分を一目で見抜いて無条件に愛してしまうクリスティーナ・リッチがいいの。
愛ってこういうものだと思うわ。私もギャロを守ってあげたーい。
ってきみら嘘、つくな!ほーんーまーにーやーれーよー。
この嘘つき!かぁっっーーつ!喝だなこりゃかぁっっーーーつ!!!
いや、別にいいんですけどね。実際そういう人いるし。

で、ギャロが演じるのは監獄から出てきた無職の男性。
神経質。キレやすい。マニュアル車は運転できない。特技はボウリング。見栄っぱり。
あんなにかっこいいダメ人間はいないよな、と思わせてくれる。もっと言えば、目に力がありすぎる。人を引き込む目をしている。
あれほど目に力があれば、親にせかされて偽った婚約者を連れて来るなんて選択はしないだろうし、
シャバでハメられた奴に復讐しよう(実質全部自分が悪い)と企んで
スネオを殺して僕も死ぬ!とのび太みたいなこと言わないだろう。
もっと違った生き方をしているはずだ。正直で思いやりのある不器用な人間というのは感じるけれども。
ヴィンセント・ギャロの魅力はファッションやスタイル、ワイルドな魅力、
それよりも何よりも鋭くやや狂気じみた目にあると思うんだけど、それが逆に違和感を感じさせてしまった。
序盤で「しゃぼん玉」の長渕くらい死んだ魚の目ができればカンペキだったと思う。
これ、ギャロの自伝的映画らしいのですが(うそくせー)、当時のことを振り返れるくらいだから、目に力がある、のかも。
そう思うと逆にリアル。もう1つの欠点はやや冗長、長すぎること。
116分あるんですけど、100分くらいの方がスキっと行くんじゃないかなー、と。
ただこのダラダラ感もこの映画の味の1つと言えば1つ。

ギャロよりも一段ハマッていたのがクリスティーナ・リッチ演じるレイラ。
素性もわからないちょっと抜けた女の子。ギャロの優しさに感じ入って、母性本能丸出しで支えます。
ただし、この人もかなり切れてます。少なくとも普通の神経はしてない。

そんなこんなで変な奴ばっかりですが、映画全体に流れる雰囲気を配慮し、
流れを間違わずに撮られているので、自然とああこの2人はお似合いだな、と分からせられちゃう。
それと、ストーリーがあったかいからね。画面は冷たいんだけど。ギャロの人柄なのかな。
同じダメ男が出てくるダメ人間映画ではマイケル・J・フォックスの「再会の街」があるんだけど、それと似たような感想。
こちらはマイケル・J・フォックスの役がハマッていて、いいです。マイケルの魅力は滑稽さとかっこよさが同居するところ。
だから「再会の街」でもニューヨークで小説家志望でドラッグやりまくって女に振られて、なんて役ができる。

とまあ、ここまでが形式上の部分、この映画はバカ、もしくはギャグです。ギャロは狙っている、と思う。

冒頭からして、どうしよう・・・・・・嫁さん連れて来るって言っちゃったし・・・・・・。浚えばいいんだ!
でエアロビ教室で踊ってるぶっとい女の子浚ってくる。浚った女は自分にマジ惚れ。えっ?うそーん。
刑務所出所したばかりのおっさんに浚われてマジぼれですよ。どうなってんのいったい。
そんなん俺もエアロビ教室行きますよ。「すいませーん」「あら、新しい人?」「はい、よろしくお願いします」

ワンツーワンツーワンツー 隙見計らって

「あ、すいません、ちょっと」「はい?」「ちょっとこっち来て」「何ですか?」「くーろーろーほーるーむー(ドラ声)」
で浚ったろか、と思うんですけど、目がさめたら警察に電話されてまた刑務所Uターンですって。5分でゲームセットですよ。
もしくは奥さんの振りしてあげるから金くれ、だ。「3万で」「安い」「5万で」こういう会話が繰り広げられるはずだ。
ギャロは浚っといてその文句が「友達になってやらないからな!」とか言ってますからね。
だいたい、5年も刑務所入ってて出てきた瞬間、外の便所がいっぱいで刑務所戻って「ごめん、便所貸して」て。
デート中に店入って財布落として天井を見つめつつ「ごめん払って」くらい情けない。

その他にも小ネタ多い多い。ぽっちゃりと表現するのに際どいラインまで来てるリッチが「私、菜食主義者なの」
っておまえ嘘つくなあ!でも可愛いから許す。
リッチはとっても面白くて、ボウリングでキングクリムゾンの曲でタップダンス踊ったりします。
それがまた笑えちゃう。なんでボウリングでキンクリ?
ギャロのオヤジも変な人で「俺の歌を聴けやこらー!」くらいノリノリでカラオケ歌ってた割に、
アンコール!って言ったら「食事の時間じゃボケー!」で切れますからね。

「生きられない」のシーンもカメラ上下させて見せ方が凄く上手いんでグッと来るんですけど、
片思いの女とブッキングしてバカにされて凹まされてデニーズでの場面。
そんな理由でデニーズのトイレ(またトイレか)で拳銃片手に握ってうんうん言ってる。
全編紙一重なので、やっぱりギャロはセンスがある。
雰囲気をオシャレにスイートに整えといて、見方を少し変えた途端に笑いとして見えてくる。
また、ギャロが狙ってるか狙ってないかで言うと、俺の勘では、絶対狙ってるんですこれ。微妙なラインを。
ていうか驚愕のラストシーンで、あー狙ってたんだ、とはっきりするので、
だるーいテンションで進みますがラストまで見ましょう。ダメ、おしゃれ、笑い、あったかい、と色々詰め込んだ面白い映画でした。

これの逆がドリュー・バリモア演じる『25年目のキス』だと思うんですけど、
ドリュー・バリモアが本当にブサイクだった分(まあ後からきれーになるんだけど)ホラー度が増しています。
ブサイクと美人を見事に演じきってしまった分、バッファローよりうけなかった気がしなくもないかなあ。
ブサイクな女になってくれ!って言われるほど女性にとってキツイことはないと思う。
すっきりこなしちゃうドリュー・バリモアは凄いですね。二の腕の太さも。


『結論』 ギャロのあらゆるセンスが光る作品




久々に書きました。

次は悪魔のいけにえ・・・・・・って何年前の話よ。書けたらいいなと思いつつ

さよなら、さよなら、さよなら。





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