死者25名――
それが、ディノアクアリウム恐竜暴動事件の傷跡だった。
車両の中でその報に表情を曇らせるアテナ。
あの事故は、自分を狙ってのもの……?

アテナの正面には見慣れた親友の姿があった。
だが、柏崎理香の腕、頭には包帯が痛々しく巻かれている。
明るく名を呼ぶアテナに、柏崎理香の反応はなかった。
伏せられた顔が再びアテナの表情を曇らせる。
麻宮アテナはつい先日に、恐竜をバラバラに散開させたのだ。
その血の匂いは柏崎理香の包帯の奥で未だ消えてはいない。

一人にしておいてくれと言う柏崎理香。
だが、アテナには残酷にも人の心が判ってしまう。

「アテナはあたしを助けてくれたんだ。こんな態度とっちゃダメ……。
 でも……」


その先は聞こえなかったのか、あるいは互いが心を閉じたのか。

逃げるように走ったアテナの先には
何も変わらない態度で話し掛けてくれる椎拳崇の姿があった。
話題はアテナの怪我の話から始まったが、
肉まんを差し出す椎拳崇にアテナが発した言葉は、この会話において

「うん、平気よ。拳崇くんは大丈夫だったの?」

という機械的な一言のみだった。
無論、肉まんは無言の内に懐に収納である。

ちなみに椎拳崇の友人である五十嵐には
「おはよう、五十嵐くん」と気さくに朝の挨拶を交わしている。
どうやらアテナのカテゴリでは五十嵐は同級生、椎拳崇は肉まんをくれる人、のようだ。

近代的なトレインが学校へ向けて走る。
だが、それが止まったのは終着の合図ではなかった。
激しく揺れる車内。アテナの脳裏に過ぎったのは怪我をしている柏崎理香のことだった。
ちなみに今目の前に居る椎拳崇も怪我をしているのだが、その辺には興味はないらしい。
その椎拳崇に話し掛けても「理香! 理香は……?」というメッセージが出た

急いで柏崎理香の元へ駆け寄るアテナ。
柏崎理香は無事。だが、彼女は俯いて顔を見てはくれない。
ここ数日のトラブル続きが柏崎理香の心を激しく疲弊させていた。

止まってしまった列車。
原因が気になったアテナは車両を前へと進む。
その足は第二車両で止まった。
寒い。空気が冷え込んでいるのか、神経がそう呼び掛けるのか。
歪んだレンズで監視されているのを感じる。

第一車両で待っていたのは少年、マサトだった。
アテナが行ったマサトへの告白は、自分の力――超能力を認める言葉。
なぜ自分にそんな力があるのかは解らない。だが、それはもう確かな事実としてある。

そしてアテナは、マサトの存在にもすでに疑問を持っていた。

「マサトくん、君は一体何なの?」

”ではなく“
アクアリウムで会ったのも偶然ではないとアテナは断定的に語った。
アテナの推理が鋭く、刃のように鋭くストーリーを進める。

超能力を認めていたなら柏崎理香以上に自分の力に恐れ、
取り乱しても良いようなものだが、彼女はそれを知らぬ間に乗り越え、
しかもプレイヤーの知らないところで推理を進めていたらしい。強い子だ。
もの凄い唐突感は拭えないが強い子だ

「ぼくは、君を待っている。
 直接君と会えるのを、ずっと待っているから」


マサトはそう言うと、霧のように消えた。


辿り着いた第一車両の向こう、運転席のドアはなぜか開け放たれていた。
そして、その先には無人。誰もいない。この列車は誰も運転などしていない。
ただ背後に忍び寄るピエロだけが人の気配を……



このイベントはさらにオートセリフ飛ばしが早くとても書き出せる速度ではなかったので
要点だけを掻い摘めばこのピエロの名、コードネームはアストライオス。
主、タンタロスの意思でアテナと接触しているらしい。
このややこしい名前を一発暗記する辺りもポリアテナは只者ではない。
近年のKOFアテナだったらば「えっ? パンパース?」的な反応が関の山だろう。

地下鉄が動き始める。
動くはずのないそれが動いたという事実は、嫌が応にも恐竜の事件を思い起こさせた。

「つれないね、アテナ。仕方ないな、それじゃあ……
 まず君の一番大切な友達と遊ぶことにしようか。ククククッ……」


「……
 一番大切な友達……?」


答えは一つだと思うがなぜかしばし考え込むアテナ。
この沈黙は何なのか…… アテナの一番大切な人は……
はっ!? まさか! 実は拳崇を!?




でしょうね

しかしならばその沈黙は何だったのか。
実は柏崎理香のこともたいして友達とは思っていないのか。
ポリアテナの心の闇を垣間見せる渋い演出だった。

柏崎理香の居る車両へ走る途中でアテナが見た物は、
倒れ伏して動かない他の乗客達だった。
サラリーマンも、OLも、子供も、倒れ伏して動かない。
そして当然、椎拳崇も倒れ伏して動かない
本当に使えない男だ。

そんな椎拳崇にアテナは屈み込み、「拳崇くん!!」と呼び掛けたが、
反応のないのを確認すると無言のまま立ち上がってそそくさと次に車両へ走ることになった。
よっこらしょとゆっくりと屈み込んでサッ! と立ち上がる動作が
またやっつけ仕事感を高めている。

分かり易く動画をUPさせて頂ければ、

拳崇への行動  五十嵐への行動

こういうことになる

なぜか五十嵐などという下の名前もないような男への行動の方が真剣な動作なのだが、
やはりストーカー行為はするなという、製作者のメッセージだろうか。
みなさんもストーカー行為をすると怪我をしているうえに意識不明で倒れていても
別に怪我もしていない下の名前もないような男以下の存在にされるので
気をつけた方が良いだろう。

そうこうしている内にアストライオスに操られた拳崇達が襲い掛かって来た



こいつホントに使えねぇー!!


襲い掛かって来る五十嵐とサラリーマン。
ただの痴漢にしか見えないが
大ピンチが訪れた。千手ピンチだ。
尚、椎拳崇はゾンビ化しても役に立たず、途中で倒れて気絶してしまった。

眼前の敵は二人だが、いずれもただ操られただけの人間。
彼らを止めるための方法を模索するアテナはこともなげにこう言った。

「そうだ、ショックウェーブを使えばいいかもしれない」

ゲェー! 恐竜をミンチにした技をそんなあっさりとー!?

そしてアテナが放ったショックウェーブLv.2によって倒れる痴漢二人。

「おいおい、友達に対して遠慮の無い奴だな!」

とアストライオスに言われるが、その通りだと思う

アストライオスの掛け声で痴漢達は再び復活し、
またショックウェーブを浴びて倒れ、また復活して計3回ショックウェーブを浴びた

自分の行為は正当防衛ということで置いておいて、アストライオスの所業に怒り狂うアテナ。
アストライオスが放ったサイコボールに再びサイコシールドが発動し、
アテナ以外を炎で包む。拳崇達は炎の向こう側で倒れたまま動かない。

逆隣で一部始終を見せられた柏崎理香は、踵を返したまま振り返らず、
摩擦に耐え切れずに外れた車両に乗せられたまま、アテナの元から離れて言った。
アテナの悲痛な叫びも震える理香には届かない。

「理香ぁぁぁ――っ!!」

アテナの叫びが消え行く車両に響き渡った。

まだ危機が去ったわけではない。
暴走するアテナの車両はただ最高速で突っ込むのみ。
このまま走るとカーブで激突し、また死者を出してしまうことになる。
もう確信がある。自分のせいで、ディノアクアリウムの25名は死んだ。

アテナは意を決してハイハイで列車上部を渡り、
第四車両ブレーキをリペアで修復。見事列車を止めることに成功した。

だが、再び現れたアストライオスと共に列車はまた動き出す。
このまま終点まで走り抜け、そして激突。
その最後を変えることはまだ出来ていない。

方法はアストライオスの口から語られた。
運転室に行って先頭車両を切り離すことで最悪を回避出来るらしい。
アストライオスは明らかに楽しんでいる。

「これはゲームだよ、アテナ。時間との戦い。心躍るだろ?」

回避を成功させたアテナの向こうで、激突した先頭車両が激しく炎を上げていた。
命は助かった。だが、失った物もまた、大きかった。


事故現場の検証に現れた人間の中には、なぜか教師であるはずの三宮芳弘の姿があった。
報告を受けている態度は明らかに立場が上の人間だ。
動けば必ず大きな害を及ぼすアストライオス。その行動を三宮芳弘は快く思ってはいない。
非常にクドイ顔をしたWARMの「カイトウ」を呼びつけ、そして動かす。

「能動的に動かざるを得んか……」

そう一人ごちた言葉は何を意味しているのか。
三宮芳弘は捨てた煙草を苦々しく踏み潰した。