ゲームとして面白い野球ゲーはあっても、
きちんと“野球”になっている野球ゲーはパワプロだけ。
それが一時期野球ゲーをしこたま買い尽くしていたボクが辿り着いた結論。
しかしそれを覆してくれる野球ゲーについに出会った!!

熱チュ〜〜〜プロ野球ぅ〜〜〜〜〜
以前から友人に薦められていたのだが、
話せば長くなるもののまぁつまりめんどいので買わなかったこのシリーズ。
やってみたら…… お、お、おんもしろぉ〜〜〜い!(ちゃーらっちゃらー♪)

実はパワプロは微妙に飽き気味で、
小久保の打席しかプレイしないという小久保プレイをここ数年続けていたのだが、
この熱チューはボクに全部手動でやらせてしまう超・久々の野球ゲーとなった。

プレイ感覚、パワプロとの差異はとりあえず置いておくとして、
このゲームでまず驚かさせるのが異常、あまりにも異常に細かいデータ。

なんと球種ごとに制球力が設定されていて、
ストレートはバラバラだがフォークのコントロールは良い、
といった永井のような変なピッチャーもリアルに再現されている。
永井などというマイナー投手になんて詳しいデータなんだ。

さらにまた球種ごとに変化量(もちろん直球にはない)、キレ、球速が設定されてあり、
速いチェンジアップ変化は少ないが手元で少しだけ曲がる球(変化F キレS)等、
実際の選手が投げる十人十色の変化球が実に本物らしく登場。

例えば同じカーブでも手元でキュッと沈む決め球カーブと
キレよりも緩急、変化量でタイミングを外してカウントを取るカーブとでは全く違うわけで、
これがまた球速、変化、キレ、制球といった4つのパラメータにより
完璧にそれぞれ再現される。(さらに黒木系のカーブFってのと区分け)
しかも投手ごとに球威(球の重さ?)というパラメータまで存在し、
球速は速いがキレはなく、しかし球質は重い、といったリアルなストレートまで可能。

そしてまた、決め球はスライダー、勝負は遅め、
直球は外角低め中心、変化球は一塁側中心、さらにカウント別配球率等、
こと細かに責め方までCPUのロジックが登録されているのだ。
しかもこれは自分で変更も可能。

つまりもはや本物ソックリの球質の球を投げ、
本物ソックリの責め方をしてくる投手を作ることも
充分可能なシステムとなっているのである!!

思いついても絶対こんな膨大な作業できないヨ! 普通ぅう!!
これ作ったヤツら絶対頭オカしいヨ! そしてサイコー!!
あんたら…… サイッコーのバカ野郎だゼ!!


理不尽と闘う

パワプロほど完璧に野球を再現したゲームはかつてなかったのだが、
そのパワプロにも矛盾というか、理不尽な点は存在する。
そしてそれを解決しているのが、この熱チュープロ野球。
恐るべきノンフィクションプロ野球ゲームなのだ。
以降、パワプロの理不尽(P)と熱チューの解決策を書き出して行こう。

コースを狙う意味が薄い理不尽

まずはコレだ。
パワプロでコースを狙う意味というとボールかストライクか判別し辛いコースを狙い、
あわよくばボール球を打たせよう、ということなのだが、
しかしギリギリストライクに投げてしまうとスティックを思い切り倒すだけで
真芯にカーソルが合ってしまい、理不尽にも諸刃の剣となってしまうことがある。

個人的には真ん中を少し外した位置に変化球が来たほうが、
微妙なスティック捌きを要求されるために打ちづらい。
現実の甘い球がパワプロでは難しい球になってしまっているのだ。

では熱チューはどうかと言うと、
まず打者ごとにまた異様に細かく得意コース、苦手コースが、
ストレート系、変化球系と分けられて3段階で設定されている。
そのため相手の苦手コースを突く、コーナーを突くことに大きな意味を出している。
相手は得意コースを選んで打ったほうがヒットになり易いのだ。

さらにまた選手ごとに、主に真ん中から高め近辺に
ここを打つと長打になる”といったコースが設定されてあり、
それが実際の野球における“甘い球”という概念を作り出している。

設定次第では投手のコントロールもそれなりに難しいので、
思わず甘い球になってしまい打たれる、という若田部的快感がたまらない。
実に理にかなったシステムと言えるだろう。

CPUの打者もスイング傾向にある球種やコース、
狙い球を絞って来るタイプ、来た球に対応するタイプ、選球の良さ等々、
また細かく細かくロジックが設定されているので、
現実さながらの責めが本当に有効だったりするのだ。
とりあえず、小久保には外スラ

球種の多さが単純な強さに繋がる理不尽

実際のプロ野球では変化球を何種類も何種類も持っている投手が多い。
一応投げられる、といった程度の球も含めれば
変化、球速の違うスライダー、チェンジアップ等を投げ分ける投手もいるわけだし、
だいたい4、5個、多いピッチャーは6、7個超ほど球種を持っているのではないだろうか。

しかしパワプロでそんな直球を含めて5択、6択を迫られては到底打てっこないため、
変化球は多くて3種類、例外的に桑田等、
特殊能力的に4種類といった程度に厳選されている。
これにより実際の投手が投げる球種が
パワプロでは登録されていないというケースが当たり前に発生するのだ。

だが熱チューは違う。
その投手が持っている球種はもったいぶらずに全てエントリーだ。
しかもそれでも打撃が成立している。なぜか?

解決策として熱チューでは、これも現実に倣っているのだが、
ショボイ変化球はあまり使いようがない”、のである。

つまり、慣れと心構えはいるが、例え直球待ちであってもショボイ変化球が来た場合は
すぐに切り替えて目で追いながらその球を打てる
球種の数がそのまま択一にならないのである。
そしてその投手のウィニングショット的な良い変化球は、
やはり読みを入れないと対応するのは難しいバランスになっている。
どんなに球種を持っていてもそれがそのまま単純な強さに繋がったりはしないのだ。

だいたいどんなエースピッチャーでも良い変化球がひとつだけなら実質2択、
2つあれば3択、といった程度のバランスかつ、
高めの変化球は(カットボール等除いて)ほとんど曲がらないうえに長打コースのために
強い変化球とてほとんど低めのみに絞っていれば良いのである。

さらにカウントによってCPUの球種の配球率が変わってくるため、
フルカウントなら直球待ち、追い込まれたらウイニングショット待ち等、
リアルさながらに狙い球を絞れる。

しかしそこまで絞っても全体的に投高打低という素晴らしいバランスには、
もはや天晴と言うしかない。
と言っても、オプションの打撃サポートでバッティング難易度は激変するわけだけども、
それはお好みでってことで。

得意変化球=変化が大きいという理不尽

パワプロでのピッチャーは得意変化球の変化量が大きく、
そうではない変化球の変化量は少ないという公式に当てはめられている。
だが実際は必ずしもそうではなく、変化は少ないが手元で少しだけ曲げて
芯を外す球を一番の得意球とする投手だとて普通に存在するのだ。
これもパワプロの矛盾である。

さらにパワプロでの変化の少ない苦手球は時として、
微妙に芯を外される嫌らしい変化球となり、
なぜか得意球よりも有効だったりする場合もある。
ここまで来るとやはり理不尽と言って良いだろう。

しかし熱チューでは上にも書いたように球速、変化、キレ、制球という
4つパラメータによる変化球表現のおかげで、
変化の少ない得意球も容易に再現させることを可能としているのである。
(変化D キレBの正田のカットボール等)

スライダーが真横に曲がる理不尽

スライダーとはそのまんま横にスライドする球のことなのだが、
重力のある世界で真横に変化するのは理不尽。
実際は少し沈みながら曲がるのだ。(ほぼ真横に曲げるピッチャーもいるにはいる)
しかしそんなことをしてしまうと打撃の難易度が飛躍的に上がってしまうため、
パワプロでは真横に曲がるようになっている。
が、熱チューではリアルに少し沈みながら曲がる。言わば全員Sスライダーだ。

しかし熱チューのシステム上、キレのないスライダーなら軌道を追いながら打てるし、
キレがある球でも絞っていれば充分対応でき、
さらに変化量Aの球でも
パワプロの高レベル変化球のように超変化するわけではないため、
読んでいても当たらない、当てるだけでも難しい、という状況にはならない。
これもリアルかつ、素晴らしいバランスだ。

ボールからストライクになる変化球の理不尽

パワプロをやっていて頭に来るのが外や高めの超・ボールコースから
グーンと曲がってストライクになるスライダーやフォーク。
頭の辺りからフォークが一気に落ちて来て高めストライクとか変だろ!
そのスライダー、絶対ベース横切ってないし!!
と、打ち辛いこともあって理不尽に感じてしまう。

が、熱チューはもともと超変化するわけではないし、
高めボールゾーンからのフォークや大外からのスライダーなどはほとんど曲がらない。
ボールからストライクというのはギリギリを狙わないと難しいのだ。
これもリアルかつ、そしてゲーム性を保っていると言えるだろう。


と、ベタ誉めはしたがさすがにここまで細かくデータを入れていると
小久保が左に強かったり等、オカシなデータも存在するし、
何よりも守備が明らかに進化しているパワプロ式を取り入れず、
昔のファミスタ方式のために操作性が悪い。

まぁ操作をパクったらコナミ((((;゜Д°)))なので色々とあるのかも知れないが、
前進(スティック下)しながらキャッチして一塁に投げようとしたら
なぜかバックホーム等のイージーミスにはムカツキー!

自分が悪いのだが、アナログスティックを使っているがための
思った方向に投げるのが難儀なストレスはいかんともし難い。
外野の肩が少し強すぎで、2塁ランナーをシングルヒットで還し難い感もある。
もう少し選手能力次第で送球が逸れるケースが多くても良いだろう。
そして最後に、エディットで選べる顔がなぜか全部ブサ顔

と、このようにまだ完全に完璧とは言えないが、コナミの野球ゲー独占も終わることだし、
パワプロ命の貴方も私も、他の野球ゲーにも期待してみても良いかもよ? という次第です。

デジキューブのポリ野球でイタイ目に遭ったことはもう忘れよう……
あと燃えプロを発売日に並んで買ったことももう忘れたほうが良い……