第四章 北斗の密盟
修羅の国からスケールダウン感が否めないネーミングの修羅の島に入っても、
やはり歩いているケンシロウとバット。
そして「んんっ?」と村人と遭遇し、リンの情報を聞かせて貰った。



若い女!?
リンではないのか、あるいは若作りの女の間違いだろうか?
聞かされた北斗の隠れ里へと歩き出すケンシロウ達。



30秒ほど歩いた先には『ジュウケイの沼』という嫌な予感のする沼があった。



「かつて北斗三派が争いし時、
 敗れた北斗無明拳と北斗琉拳は密かに会い、密盟を交わした。
 すなわち、北斗琉拳起つ時、無明拳これを支える、
 北斗無明拳起つ時、琉拳これを支える。
 両者は共に助け合い、北斗神拳を討つべし。これ、琉拳無明拳の誓いなり」






ジュウケイの語る逆恨み条約のせいで北斗琉拳も敵に回すことになったケンシロウ。
隠れ里へ向かい、決意を新たにまた歩く。



30秒ほどで里に辿り着き、村人の話を挟んでさらに35秒ほど歩いた先には里の長老がいた。
心なしかここへ来て、歩く時間がさらに長くなっている

長老が語る、北斗宗家最後の末裔、ゼンオウとホシム。
ケンシロウとリュウの他にまだ宗家の人間がいたらしい。
可能性としてはカイオウの子か。

二人は共に北斗琉拳を修めていた。
しかし、伝承者は心優しき弟のホシムが選ばれた。
そしてゼンオウは心を閉ざし、里を抜ける。

だが、万人に慕われたあのホシムも北斗琉拳の魔性には勝てなかった。
彼は魔界へ堕ち、北斗の冠を捨て魔導琉拳を名乗った。
もはや心優しきホシムは存在しない。



だが、ただ一人だけホシムを信じる婚約者のレイカ。
よぼよぼの長老の娘らしいが、その容姿から何歳かは伺い知れない。




ホシムの城を目指すケンシロウとバット。
その道中は、かつてない50秒もの徒歩を伴った。
行き着いた洞窟で見る、懐かしい人影……




黒夜叉出たぁー(;´Д`)


もう東映動画だろ、これ!



よく見たら箱にこんなの書いてるし!“CATAS(東映動画)”を駆使とか書いてるし!
説明書もスタッフロールも誤字だらけじゃねぇか! 駆使するなよ!
っつーか、関わってるのは技術協力だけじゃないだろ!
もっと根底のこのゲームの深淵にまで東映スタッフが入り込んでるだろ、これ!
ウィルスみたいに!!

だから黒夜叉は死んだんだ!
原作でちゃんと死んだんだ!



黒夜叉が好きなのはもう嫌というほど分かったから死人を何度も出すんじゃない!!
そもそもこんな中途半端な時期に北斗ゲーの企画が持ち上がること自体がすでにオカシかった!
こんな、特にリバイバル人気も盛り上がっていない中途半端な時期に
北斗ゲーを作りたがるアホなど呪われたように北斗ゲーを作り続けた
いにしえの東映動画スタッフしかいない!!

――今、全ての理不尽が繋がった。
北斗ゲーの看板はハート様だという認識が一般的だろうが、
その実、裏から屋台骨を支えているのは他ならぬ黒夜叉である。
という論文を学会で発表したくなりました。


ニコやかに再会を喜ぶ黒夜叉。
だがその時、漆黒の魔闘気が黒夜叉を覆った。
聞こえて来るのはホシムの笑い声。

『すでに北斗の名は捨てた! 我が拳法は魔導琉拳!
 黒夜叉を刺したのは北斗への決別の証だ!』


姿はない。濁った声のみが黒夜叉の洞窟に響く。
ケンシロウは「おのれぇぇ!」と怒りを露わにした。

『天帝リンはオレが預かっている! リンが欲しくばオレの城に来い!』

その言葉に「おのれぇぇ!」と怒り狂うバット。
黒夜叉に声を掛けるが、すでにその命は尽きようとしていた。

「ホシム様は魔界に入り、すでに北斗の名を捨てられた……
 ゼンオウ様は島を出て海を渡られ…… 暗黒の北斗の伝承者に……!」


黒夜叉最後の言葉で敵がはっきりとする。
というか、北斗琉拳は一子相伝ではないのだから別に伝承者が何人居ても良いのだが、
どうやらゼンオウは何か勘違いして島を出てしまったようだ。うっかりさんである。



さらば、黒夜叉。心よりご冥福をお祈り致します。


そこに突然出現したレイカはホシムと決別し、ケンシロウにホシム抹殺を嘆願した。



ホシムの城へ45秒歩くケンシロウ達。
そこで待ち構えていたのはガイというホシムの部下、目の澄んだおっさんだった。
おっさんを倒す連射パッド、いやケンシロウ。
敗れても尚、瞳の澄んだガイにケンシロウは事情を聞いた。

「お前の眼に曇りはない。聞かせて貰おう、ホシムを慕う理由を」

ホシムはあのカイオウですら成し得なかった魔闘気の制御に成功し、
北斗琉拳を完成させた。
だが、ホシムはこの世の覇権を目指し、乱世に荒ぶる北斗無明拳の男の正体を知る。
兄である、ゼンオウ。

ホシムは悩んだ。
北斗の密盟に従うならば、共に野望へ奔るが義。
だが、ゼンオウの野望は狂気。
北斗琉拳が手を貸せば、すなわち地上を暗黒に包むと同議。
悩んだホシムは、悩み過ぎて魔闘気に負け、魔人となってしまったらしい。
ガイの告白により、ホシムは精神的な弱さを露呈してしまった。

それでもガイはホシムが魔界から帰還することを信じている。
ケンシロウとホシム、同じ北斗宗家同士の闘い。
それは地獄となるだろう。

「避けてくだされ……!」

それがガイの願いだった。
だが、宿命に生きる漢、ケンシロウには届かず……!

「ガイ…… オレは北斗の長兄ラオウと、実の兄ヒョウとも闘って来た。
 避けることは出来ぬ。例え地獄であろうと、進まねばならぬ」

宣言し、また歩き出すケンシロウとバット。
物々しい扉を潜った先にはホシムの姿があった。




ヒョウのコピペである。

ホシムはヒョウの隠し子だったのだろうか?
ジャコウのコピペまでは一応血筋の説明等、設定があったが、
ここからのコピペキャラには全く説明がない

最初の方はメインキャラにはやれ息子だの娘だのと色々設定を付けて
コピペキャラを正当化していたが、ここで投げた
そう考えることが出来るだろう。

もうコピペの理由はない。
序盤は読んでいる方もなかなか心揺さぶるストーリー展開だと思われていたことと思うが、
ここから出て来るコピペキャラには何の因縁もない
何の理由もなく原作キャラのクローン人間が出て来るゲーム
それがSS北斗の拳の正体である。




PCエンジンのような絵だが囚われの美少女、リン。
一見、美少女だが実年齢は28〜30過ぎだと思われるリン。


「魔導琉拳は遥かに北斗を超えた。魔界より北斗伝承者に引導を渡す!」

宣言して襲い掛かって来るホシム。
だが、闘いが始まると彼は「北斗琉拳! 斬風燕破!」等と叫び出し、
実際は北斗の名を全く捨てていないことが発覚した。
そんなホシムもあらゆる拳法の中で唯一輝く拳、
最強無比の連射パッドの前には成す術もなく、力なく敗れ去ったのだった。

またどこからともなく出現し、ホシムに駆け寄るレイカ。
レイカに謝るホシムはすでに魔界から帰還していた。
そう、北斗を導く天帝リンの光がすでにホシムを魔界から救っていたのだ。
元斗の総督バレビからリンを奪い取った時に、もう彼の運命は決まっていた。

「兄ゼンオウの歪み、増大した野望を断つ!」

回想シーン。
ボロボロの小船で島を出るゼンオウをホシムが見送る。

「伝承者争いに敗れた者…… 拳を封じるのが北斗琉拳の掟のはずだ!
 情に流されるとは、北斗琉拳に未来はないわ!」


拳を封じないと言うホシムに怒鳴りあげるゼンオウ。
だがそれはあくまで北斗神拳の掟であって、北斗琉拳は別に拳を封じる掟などない
やはりうっかり間違えてしまったのか、ゼンオウは怒りながら去って行った。

あの時、ゼンオウの拳を封じなかったことをホシムは後悔した。
そして決意した。
北斗の密盟を守り、北斗神拳伝承者の首を手土産に無明拳に乗り込み、全ての決着をつける。

だが、決着をつけるのはやはり乱世の拳、北斗神拳だった。
それを理解し、兄ゼンオウをケンシロウに託すホシム。

「ホシム…… 北斗の名を捨つるも、その誇りは捨てず。
 伝承者の宿命に生きるか……」

止めは刺さずに生かし、ホシムとレイカを見守るケンシロウ。
魔界からはとっくに帰還していたのに黒夜叉を殺害した罪は問わないようだ。
その視線の先ではもう一組のカップルが再会を喜び合っていた。


「ありがとう…… バット」

客観的に見てバットは何もしてない。

だがその時、リンの電波レーダーが危険を受信した。
「私には解る…… ルイが狙われている! 暗黒の北斗に!」
ルイに、もう一人の天帝、双子の姉ルイに危険が迫っている。

「暗黒の北斗よぉ……! ルイまでも!
 ゼンオウ! お前を必ず追い詰める……!」

崖でポーズを決めながら、
ただリンの電波が反応しただけで実際のところはまだ何も判らないのに
すでにルイに手を出したと確定して激しい怒りに震えるケンシロウ。
ケンシロウの、今度はルイを求めての旅が始まった。



第四章 完