■SEGA AGESとは!
SEGA AGES 2500シリーズ Vol.11と言っても北斗の拳を11個も作っているわけではない。
これは要するに一子相伝だった(一部例外あり)セガの旧作を
低価格でPS2に移植しようという企画である。
今作ではあのソニックチームの中裕司氏らが黎明期に制作したという名作、
セガマークIII版北斗の拳の完全移植に加え、さらに3Dでのアレンジリメイクまで収録!

というのが本来の趣旨からすれば自然な解釈のような気がするのだが、
このSEGAAGES北斗は3Dの方がメイン、一応、奥行きなしの横スクロールアクションで
ボス戦は一対一というマークIII版の基本設計をなぞってはいるものの中身は全くの別物であり、
『北斗の拳』というゲームの完全新作だと思って良い。
それにオマケでマークIII版が収録されている、という方式のようだ。
よってここでは“完全新作北斗ゲー”である3D版を攻略せねばなるまい!

■SEGA AGES 2500シリーズ Vol.11 北斗の拳攻略!
しようと思ったのだが、実際、弱攻撃+強攻撃の同時押しで出る回避攻撃を
ひたすらに打ち続けるだけで良いので攻略出来る要素がない
この回避攻撃という技はファイナルファイトの必殺技のようなもので、
無敵を伴いながら前後の敵を一瞬で攻撃する旋風脚を放つシステムであり、
そこには当然、体力ゲージないし奥義ゲージを消費等のリスクが生じるのだろうと思っていたのだが
これが何も減らないためにモヒカンだろうが世紀末覇者だろうが回避攻撃の前には死、あるのみ。
気を付けねばならないのは調子に乗って連打し過ぎた際に暴発する百裂拳のみである。

最強の北斗を屠る者の名は回避攻撃!
この回避攻撃より真の強者の伝説は始まるのだ!

同時押しのしすぎで指を痛めるな! 指を鍛えろ! カルシウムを取れ!
それが二千年の永きに渡り受け継がれて来た北斗神拳の極意、
そして正統伝承者であるケンシロウからのメッセージであったことは想像に難くない。
むしろゲームなぞせずに腕立ての一つでもやれと言わんばかりの豪胆さである。
クリアした際に何の脈絡もなく「お前はもう、死んでいる」と言われるのも
その辺を加味すれば合点が行くだろう。

良い若者がゲームなぞやってるんじゃない。
特にこのゲームようなク●ゲーに費やす時間などないはずだ。まず体を鍛えろ。
今のお前はもう、死んでいる。死人だ。地獄すらなまぬるい。

ケンシロウが伝えたかったのはきっとこのようなことだったのだろう。
厳しい漢よ…… 誰よりも愛深きゆえに……

■ならば価値を見出してみせよう! この拳に2500円分の全てを込めて!
実際、あってないようなゲーム性だが、単純にモヒカンを蹴り飛ばしながら
「ひでぶ!」やら「たわば!」やらと言わせて進むのはそれなりに爽快ではある。
とはいえ、しばらくモヒを駆逐していると“PS2なのに何故画面上に三匹しか敵が出ないのか?
といった疑問が脳裏を過るかも知れない。
PS2のスペックを生かしてもっとわらわらとモヒが出てくれればさぞかし楽しいゲームになったはずだ。
そう考えてしまうのも無理からぬことだろう。

だがそこは恐らく同じく一画面上に三人しかモヒを出せない
マークIII版に準えているものだと思われる。
一度闘った相手の技を会得するという北斗神拳の奥義、
水影心のようなものだと思っていれば良いだろう。ゲーム性は飛●の拳辺りから水影心。

またケンシロウ、トキの奥義でリュウケンの技である七星点心が出て来たり、
レイに至っては舞撃掌疾空翼破という捏造奥義のみしか使えないなどといったこともあって
北斗ゲーの奥義は何故、原作の技がことごとく不採用になるのだろうか……?
といった疑問もまた版権元のメーカーが移ろい続けるここ21世紀にに至っても
未だ解明されてはいないわけだが、モヒ駆逐はあくまでそれなりには爽快で、
そしてもう一つ今作には北斗ファン向けの売りが存在している。

北斗の拳 プレミアムベスト それは、恐らく一部BGMがアニメ版のアレンジであるということである。
かなり大幅にメロディラインが変わっているので
もしかしたら著作権回避にただ似せただけ、といったオチが付くのかもしれないが、
アニメ北斗好きにはたまらないファンサービスだろう。
諸兄らはもはや意志とは関係なくすでに←のサントラを購入していることとは思うが、
あの名曲群のアレンジが聴けるのなら、金欠を自負する男の2500円…… 持って行けぃ!
いやまだちょっと高いな。1800円くらいにはなりませんか?