1994 178M
いつか、あいつと闘う時がくる。
餓狼シリーズで絶対的な地位を築いたSNKが、あの龍虎の拳を再び世に送り出す!
蓄積した格ゲーのノウハウ全てを叩き込んで作られるであろう龍虎の新作に、
サムスピ⇒餓狼SPで最高潮に達したNEOGEO野郎の猛者達は
ベッドの上で枕に抱きついてごろごろと狂喜しました。

龍虎は出世作である餓狼2以前の作品なので知名度は低く、
初めて龍虎に触れるという人もたくさんいたのですが、
餓狼SPでのリョウ・サカザキ出演がキッカケとなって
今作への期待は膨らむばかりでした。

しかしここで、キャラクター発表と同時にどよめきが起こります。
当時の続編物はほぼヴァージョンアップに留まっていたスト2シリーズ、
餓狼1は毛色の違うゲームとして、餓狼2⇒餓狼SPと、
前作に出たキャラは無条件で引き継がれるのが何人も疑わぬ常識。

それは当然今作にも適応されるであろうという前程で、
1は(CPU戦では)リョウ、ロバートしか使えなかったこともあって
2では「オレキング使うもんね!」「わしはミッキーを使うでゴンス」等、
使用キャラについて空前の盛り上がりを見せていたのです。

ちょうど餓狼伝説アニメ化等もあり格ゲーにおけるキャラクター性の比重は大きく、
美形キャラ専門家や投げキャラ専門等プレイヤーの好みも生まれ、
キャラ発表、そして選択は、遠足のお菓子を300円以内で選ぶが如く、
一種のイベントと化していました。

今回の目玉はなんと言っても前作でさらわれ役だったリョウの妹、
ユリ・サカザキでしょう。
あのユリが極限流をマスターして登場とのにわかには信じ難い情報は、
硬派荒ぶる龍虎信者のNEOGEO小僧共に驚愕の鼻血をもたらしました。
というのも前作の隠し技、龍虎乱舞が公開されたときに実は、
他に藤堂乱舞があるユリ乱舞もあるというデマが誠しやかに流れたのです。
この噂を本物にしてやろうじゃないか、
そんなSNKの熱い心意気を感じずにはいられませんでした。

しかし前作に出ていたキャラは10人。発表された2の登場キャラは12人。
内、新キャラは4人ですが 1の天狗=新キャラ タクマなので10+3。
あれ? おかしいぞ、13人になるはずなのに。
なぜだろう? 一人足りない。 誰だろう? 誰が足りないのだろう? ……


えいやー!


・・・


トゥードゥー(藤堂)がいねぇぇ―――っ!!


トゥードゥーだけがいねぇぇ―――っ!!!!


それが漢達の魂の叫びでした。

今でこそ続編物でキャラが入れ替わるのは日常的な光景ですが、
当時はそれが信じられない出来事、かつ一人だけ消えるという処遇はリストラ問題、
いじめ問題が深刻化するご時世において強烈な社会的影響を与え……

まぁ、ぶっちゃけ、

ユリはいいから藤堂を出せ!

これがNEOGEOラーの総意であったと言っても過言ではない。
今こそ語ろう! 藤堂竜白という漢の生き様を! さぁ! 刮目せよ!

トゥードゥーを探せ!


こうして大切な物を失ってしまった龍虎の拳2ですが、
ゲーム内容もそれはそれは凄まじいものでした。
とりあえずやってみて確実に感じる違和感は異常に効いてしまう先行入力でしょう。
慣れない内は出した覚えのない技が四六時中暴発しっぱなしです。

例えば強足払いを出している間にもう一回強足払いを押してしまうと、
ご丁寧に一回目の足払いが終わった後に二回目の足払いも発動。
もちろん必殺技も同様で、二回コマンドを入れるときちんと2連発してしまうのです。
よってこのゲームは何をするにも先行入力を頭に入れて少し早めにボタンを押す。
そしてボタン連打はしない。というのが基本となります。

また一般人がやろうものなら一方的に惨殺されるのが当然な難易度の
CPU戦もこのゲームの特徴と言えるでしょう。
>参考 動画 龍虎の拳2 CPU戦伝授

対戦が盛り上がれば当然インカムは上がるのですが、
これがCPU戦となるとプレイ時間が長くなるため効率が悪く、
ならばどうせメインじゃないんだしと
対戦格闘のCPU難度はとめどなく上がる傾向にありました。

しかしこの作品のCPUはすでに狂気の領域であり、
こちらがボタンを押した瞬間に稲妻のように目を光らせて超反応。
必殺技を出した瞬間にはもう小技連打で止めにかかっています
そのため自分から動くと一発も殴れずに完敗必至なのです。

ですが反応型というのはその過剰反応が裏目となり、
こちらの誘いに簡単にのってしまうという弱点があります。
例えば弱Pを連打していたら必ず跳び込んで来る、等です。
それらのパターンを駆使すればパーフェクト勝ちも容易く、
それを見つけ、完勝するのを楽しみに出来る人には
この龍虎2のCPU戦はかなり面白かったはずです。
パーフェクト勝ち専用勝ちポーズの存在もそれを助長していました。
かくいう自分もハマったクチなのでCPU戦はそれで良しとしましょう。

しかしインカムの稼げる“対戦”格闘にしたいがために全体的にアクが消えた、
悪い意味でカドが取れてしまった印象は否めません。
当然、正拳一発でダウン&気絶などは有りえず、
ボタンを押す時間で通常技に強弱をつけるというシステムになってしまったがために、
強攻撃を出すための一瞬のタイムラグがもどかしさを与えます。
そしてそのもどかしさに耐え切れずうっかりボタンを連打してしまうと、
恐怖の先行入力が働いてしまうのです

で、結局対戦も盛り上がりませんでした。
必殺技も普通になり、出てしまえばこっちのものだ……! のような戦略性が失われ、
同時に挑発との駆け引きの意味も半減してしまったからです。
連続技も一応あるにはある、といった程度で実用度は低く……
というか連続技なんかに頼らずに正拳一発でぶっ倒すのが龍虎なんじゃい!
足払いで毎回転ぶようなスーパーリアル対戦は認めんのじゃい!

また前作でキング女性発覚のドラマティックな演出が印象的だった脱衣KOですが、
今作ではなぜか男女問わずどいつもこいつも脱ぐという
何か間違った進化を遂げました。これでは脱衣格闘です。

さらにリョウ、ユリの兄妹はパーフェクト勝ちで何を思ってか自ら脱ぐことから
脱衣兄妹の名を欲しいままにし、
その血縁の主である半裸親父
一体何を脱いでしまうのか!?
と懸念の声が広がりました。
これもまたにわかには信じ難いシステムであり、
硬派な龍虎の拳は竜白と共に滅んだのでした。

結局なんだかんだでCPU戦にハマったからお気に入り度に変動はなし。
基本的に龍虎の拳好きです。特別オススメはしないけど、好きなんだから仕方がない。

ギースの拳

このゲームをノーミスクリア(一本も取られずにクリア)すると、
お馴染みの楽曲にのせてあのギース・ハワードが現れる。
しかしこれを餓狼SPに同条件でリョウが出たお返しと思ったら大間違いで、
今作のギースは若く、26歳なのだ。
これは龍虎が餓狼の12年前の物語だからに他ならない。

ギースは身分を偽ってタンの元で修行を積み、
烈風拳を編み出すが素性がバレて破門になった後は
極限流の並々ならぬ気を使った奥義に興味を移した。
1の最後で明かされなかった
Mr.KARATEの正体はやはりタクマであり、
ユリ誘拐は地上最強を誇ったタクマと、
同組織内で飛躍的に権威を増していた
ギースの結託を恐れたビッグが苦し紛れに行った、
タクマを自軍に引き入れるための愚策だった。
この失敗によって組織の幹部であるビッグの権力は衰退し、
同じく同組織のギースの発言力はさらに増す。

ほぼサウスタウンを手中に収めたギースが次に画策したのは、
極限流を誘き寄せるための格闘大会の開催だった。
後に世界中にその名が知れ渡ることになる
キング・オブ・ザ・ファイターズの第一回大会である。

優勝したのはリョウ・サカザキ。
もはやリョウは父タクマをも超える実力を身につけていた。

若くしてすでに圧倒的な威圧感を放つギース。
リョウに結託を申し出るが返事はNO。
しかし大会中に何度も
極限流の奥義を見た天才ギースにとって
その返事は自分の力を試す絶好の機会だった。
強い部下は必要だが、
最強の部下が欲しかったわけではない。
ギースは極限流の奥義を手にすることで、最強となった自分自身が欲しかった。
彼の敵はあくまでジェフ・ボガード、ヴォルフガング・クラウザーであり、
それは己の力で乗り越えねばならない壁なのだ。

リョウ・サカザキは想像以上に強かった。
ギースは奥義中の奥義、龍虎乱舞をコピーしたデッドリーレイブを繰り出すが
オリジナルが持つ無の境地、無心の連撃にまでは届かず、リョウの前に敗れる。

しかしギース・ハワードは苦渋を舐める度に飢え、そして強くなる。
今回の敗北で日本の武術への興味を強めた彼はすぐさま日本へと飛び、
ブルー・マリーの祖父、周防辰巳から奥義、当て身投げとその命を奪い取る。

自らの肉体で師を殺めたギースにもはや退路はなかった。
数年後、サウスタウンへと戻った彼は瞬く間に組織を制圧。
無敵の当て身投げを以ってジェフ・ボガードを葬り……
そして餓狼伝説へ、となるのだ。実に深い。

ちなみにSNK世界の連結は古い順から――

月華の剣士⇒龍虎の拳⇒ファイヤースープレックス⇒餓狼⇒風雲

となる。
サムスピは無関係で、デモや背景に出て来る舞や藤堂、キムはただのゲストであり、
先祖等ではないというところに注意。
ファイヤースープレックスはライデン(ベア)が所属しているプロレス団体、
S・W・F(SNK Wrestling Federation)があるので正史だろう。
また中年リョウが出ている武力はKOFと同じくパラレルワールドらしい。

まぁそれはともかく――

小板橋篤記画伯

若ギース様カッコ良すぎ!

って、ことでひとつ。
この若ギースのデザインはアニメ版の、
バトルファイターズ餓狼伝説ヴァージョンが
使われたそうだ。
バトルファイターズ餓狼伝説1&2 余談になるが、
この若ギースとの差別化のために
アニメ餓狼1のアンディは銀髪なのだろう。

尚、細かい部分は天獅子悦也氏のコミック版より設定を頂いています。
>参考 サウスタウン小説下部

そりゃ全然公式じゃねぇじゃん、と思われるでしょうが、
これがアーケードの権威雑誌、故ゲーメストに連載され、
尚且つその出来があまりにも、あまりにも素晴らしい物だったために、
ファンの間では半公式となっているという不思議な状況なのだ。

龍虎の拳は漠然とした情報が多数公開されながらも
細かい部分は公式設定でさえ意図的なフェイクなのか、
諸説入り乱れ状態なのでこの隙間が埋まることは永遠になく、
そこに説得力のあるコミックが著名雑誌に載っていたことで、
自分含め、恐らくほとんどのファンが“半公式”という形で異論なし、
と勝手に信じ込んでいるのである。

よく意味が解らず首を傾げてしまった人も、
とりあえずそのコミックを読んでみれば全てに納得が行くこと間違いなし。
SNKファンにこれほど自信を持って薦められるマンガ版は他にない。
龍虎のストーリーを知りたければこれを読むべし!

PICKUP
100メガ
ユリ・サカザキ
 
決め台詞 余裕っチ!

硬派な龍虎というイメージを根底から覆した恐怖の小娘である。
ヒップアタックにおしりペンペン挑発などとても龍虎のキャラとは思えない。
しかしその実力は確かで、なんとあの覇王翔吼拳までも使えてしまう。
でも気の色がピンクでボイスは黄色「はおーしょーこーけーん!」 ……
初代を溺愛していた者としてはやはり先の通り、龍虎のキャラとは思えない。

龍虎の拳
龍虎の拳2

そもそも同一人物とすら思えない


脱衣KO

パーフェクト勝ち脱衣
さらにこんな娘が脱いでしまうという事実が
また信じられず、初代からやっていた人間は皆、
本当に同じゲームか? と目を疑ったものだ。
(※写真は兄です)
なんともはや…… あの龍虎の拳が……
関係ないがリョウの半裸は想像出来ても
ロバートの半裸はなぜか想像出来ない。
これは自分がロバートをまだ
美形キャラとして認識しているからであろうか。
と、思ったら龍虎1ですでに脱いでいたので驚いた。

これは割と有名な話だが、アニメ版の声やCMの実写ユリは今をときめく、
当時全く無名の浜崎あゆみさんだった。
マガジンか何かの制服グランプリだか何かで選ばれていたような記憶があるのだが、
検索しても全然HITしないので単に記憶違いなのか
黒歴史なのかどちらかだと思われる。
まぁそれを言えばそもそもこの仕事自体が漆黒の黒歴史という気もするが

千葉麗子⇒引退、松本恵⇒引退(※現在は改名して復帰)と、
SNKに絡んだアイドルはなぜか業界から消える傾向にあるので、
浜崎あゆみ女史もそろそろだろうか
アニメ版の演技力についてはまた
筆舌に尽くし難いという表現で逃げることにしたい。
(DVD版ではユリだけ他の方が新録しているらしい)

なんにせよゲームの雰囲気をガラリと変えてしまった
ユリのパニッシャーっぷりは驚天動地と言うに相応しい。
本編で「ユリはいいから藤堂を出せ」などと書いたが、
本音を言うとユリのほうが良いのは動かし難い事実である。
またそんなユリにすら顔ボコボコシステムを採用してしまうSNKは
何か心の病気を持っているのではないかと心配になったものだ。

変わりました、なにもかも

空耳の拳

▼夏の悲劇ぃー!


テムジンの竜巻激なわけだが、彼の夏に何があったのだろうか……

▼お味噌スープ


かの有名なMr.BIGの空耳。「オーバー ソゥ スーン」と言っている。

▼痛いアゴ


若ギースの決め台詞である「DIE YABO(野望)」なのだが、
闘いで負傷したのかアゴが痛いようだ。「ダイアモンド」説もある。