DEATH-TINY 13
狂刃の罠

テリーの、最強の野蛮な狼の記憶がついに戻った!
これはテリーが最後まで己の意地を貫き通した結果だと十平衛は言う。

「もうあの男の中に敗北をあじわったという意識はみじんもない
 あるのはおのれが最強という自負のみ
 あれほどほこり高く強気で強情な自信家 ほかには知らんて……」


文脈だけを見れば賞賛とも呆れとも取れる微妙なお言葉。

テリーは今度は自らが敗れたという記憶を喪失してしまったようだ。
完全記憶喪失から部分記憶喪失だろうか?
どうも彼は度々自分に都合の悪い出来事を忘れるきらいがあるので、
そういうことならばテリーの真骨頂だろう。
むしろいつものことだ。何も心配するようなことではなかった。

ここで話を韓国のクローンテリーにまで戻すが、
彼はひょっとしたら人質に取った舞を殺すつもりはなかったのではないだろうか?
彼は舞が舌を噛んだことにより、すぐに彼女を解放している。
これは本当にただの脅しで、記憶も引き継いでいるらしいクローンテリーに
ただとにかく「生きるためならなんでもやる」という、
暗黒街、サウスタウンで生きて来た重い日々の意識が表面化したのではなかろうか?

アンディをひとりには出来ない。
アンディを守る。負けられない。死ねない。
そんな思いがクローンテリーを突き動かしていたとしたら……

ボンボン餓狼、奥の深い作品である(好意的に見れば


テリーはわがままを極めることにより己の記憶を呼び戻した。
視線の先にはローレンス・ブラッドがいる。
と、そこにサーベルを構え割って入るピエロ仮面! しかし!
エルボー一発で瞬ッ殺!(パワーエルボー!?
ピエロは空中一回転しながら地面に激突し、後は痙攣するのみだった。強い

前回からそうだが、不意打ちとはいえあのジョーを倒したサーベルピエロの群が全く相手にならない。
テリーの相手が出来るのはこの場にはローレンスだけだった。

ローレンスがチンの命令を蹴ってここ日本に現れた理由。
それはテリーの首をクラウザーに献上することで、
自分が再び第一参謀の地位に返り咲くためだった。
もはや二人の激突は避けられない。何としてでもテリーの首を取る。

「そりゃダメだよ おれってけっしてケチンボじゃないけど……
 首はあげちゃうと二度とはえてこねーじゃん」


軽口も戻って来た。

しかしローレンスにはグズグズしている余裕はない。
髪なら切らせてやっても良いと尚も軽口を叩くテリーの髪を一瞬で切り捨て、
「いらんよ そんなもの」「わたしは妥協できん性格でな」
余計な話を途中で切り上げ、マントを携えて飛び上がる!
CPUが飛び道具に鬼反応で合わせてくるブラッディカッターだ!

と思ったらなんと彼はテリーの腕にマントを巻きつけ、
「マントブリーカーッ!!」と叫びながら彼を放り投げ、
着地したところをさらにブラッディサーベルで追撃した。

いきなり凄い動きだ
しかもブラッディカッターから投げるという動作はRBSPでローレンスが復活した際に追加された
ブラッディアクセルからのブラッディプレスのようだ。
あと肩が子供が遊ぶブロックのようだ。

またしてもボンボン奥義オフィシャル化現象の跡が見えるが、
テリーはこの一連の動作を軽業師のようなステップで躱し切っていた。
躱しながら無駄に空中で回転している。今までのテリーにはない動きだ。

さらに髪などいらぬと、あくまでテリーの首を狙うローレンスに
「わがままなおやじだな」とまたも軽口。しかも自分のわがままぶりを棚に上げている
また部分記憶喪失だろうか? 余裕しゃくしゃくである。

「そういうのは……」

ふいにテリーの姿が消えた。
次にテリーが姿を現した時、彼がいたのはローレンスの背後!

「だめよ」 ゴッ

今度はローレンスにエルボーを浴びせていた。
舌を出してぬかるむ地面に顔面をめり込ませるローレンス!
いつの間にか蘇生して戦況を見つめるジョー達も目を白黒させるテリーの驚異的な動き!


「見えなかった…… おれにもテリーのうごきはまったく……」

この瞬間、テリーのジョー超えが確定した。
というよりもジョーが弱体化したような気がしないでもないが、
アンディと互角のローレンスが今のテリーと勝負になるのか?

あの強いジョーをさらに超えたテリーの強さに、ローレンスの怒り、そして焦りが爆発する。
アンディと闘ったときと同じように草木がざわめく……
空気の変化にギャラリーは不安な表情を浮かべ、テリーもその闘気を認めた。
ローレンスの実力はやはり本物だった。

そして超必殺!

ブラッディフラーッシュッ!!

並の武闘家では目で追うのも困難な激しいサーベルの連撃!
の、はず! のはずなのだがテリーはそれすらも重力を感じさせない動きで躱し切り、
再び姿が消えたと思ったら今度は、

こんなところにいた
今やテリーの体は羽根のように軽くなっている。鉄になったり羽根になったりと忙しい体だ。
ローレンスもひどくドッキリしている

この挑発とも取れるテリーのあまり意味のない屋根に登るという行動に
さらなる屈辱を覚えたローレンスはもはや完全に理性を失ってしまった。
顔を真っ赤にして、血管を浮き上がらせながら「ぬふ〜 ぬふ〜」と息を上げている。

「屈辱だ…… このローレンス・ブラッドともあろう者がなんたる屈辱……
 だがな このままおめおめと……」











何かとんでもないことになってしまった

突然、ローレンスがレーザーソードを振り回している
ボンボンのローレンスは怒るとレーザーが出るようだ。

もちろん原作のローレンスは剣からレーザーが出たりなどしないし、
言うまでもなく餓狼伝説という作品では気は出てもレーザーは出ないビームも出ない
何かここへ来て唐突におかしな現象が起こっている
あとテリーが調子に乗って屋根の上に登ったせいで、山田柔道場が真っ二つにされてしまった

そして、
さらにとんでもないことに
なってしまった

もはや山田柔道場はキャベツのようにみじん切りだ。
この男を怒らせたのは間違いだった。彼はもう、いつでもX-MENと闘える
明日辺りシルバーサムライと入れ替わっても無難にこなせるだろう。
いくらなんでも線描きすぎである。

尚もローレンスのレーザーソードは勢い衰えず、闇雲に振り回された光は
自らの仲間であるハロウィンの方々をも首を飛ばしたり縦割れにしたりしてしまった。
道場を切り刻まれた挙句、家の前に惨死体を列挙され、十平衛はこの上ない迷惑だろう。

無差別に襲ってくる恐怖のレーザーソード。
羽根となったテリーだとて無数に散らばる光の線を躱しきることは難しく、
ローレンスの「くきゃーっ!」という奇声と共に、ついにテリーの背を一筋の光が切り裂いた!
血を流し、倒れるテリー!
そして下劣な笑みを浮かべるローレンスは宣言通りテリーの首を斬り落とすべく、
トドメの狂刃を振り下ろ……!!

「ぬ お―――っ!!」

響いたのはバチィンという何かが弾けるような音だった。
そして訪れたのは静寂と、再び辺りを包む暗闇。
テリーの裂帛の気合と共にローレンスのサーベルは弾かれ、
同時に剣を包んでいた光も失われていた。

「うおお すげーっ
 気の力でレーザーをはじきかえしちまったーっ!」

テリーの気合はレーザーよりも強かった
剣を落とし、へたり込むローレンス。
もはや完全に戦意喪失だが、テリーの怒りは収まらない。

「ざけんなよ てめ〜っ
 自分の目的のために仲間の命うばうようなやつにやられっかよ

 
クズ―― 野郎〜っ!!

人一倍わりと仲間を大切にする系的なテリーにはこの行いが許せなかった。
例えその仲間が極限状態で闘っていた自分を置いてさっさと家に帰り
居間でくつろいでいたとしてもだ。

テリーにメンチを切られ
「ひいいーっ!! ひい ひい ひいい――っ!!と逃げ出すローレンス。



まさに脱兎の如くという言葉を身体中で表現したこの逃走ぶりに、
テリーのメンチの怖さが窺い知れる。

しかしテリーはローレンスを追わなかった。
もはや二人の実力差は歴然。これ以上やる意味はないのだ。

「しっぽをまいた負け犬をいじめることもなかろうて……」

復活テリーvsローレンスの闘いは十平衛の〆で終わった。

かに思われたところで響き渡る爆音!!
廃墟となった山田柔道場をさらに蹂躙し、現れたモノは!!






戦車だった
唐突に今度は戦車が出て来た
何の脈絡もなく戦車が出て来た
中にはローレンスが乗っている。

これにはテリーでなくとも、
「戦車だとォ!?」
と絶叫せざるを得ないだろう。
この作品は『戦場の狼』ではなく、『餓狼伝説』である。
スト2のボーナスステージでも戦車を殴り壊すような大胆な真似はしない

そもそもなぜ個人を殺るために持って来るのがわざわざ戦車なのかよく解らない。
テリークラスになると銃弾が通らなかったりするだろうか?
鋼霊身で弾かれたりするのだろうか。

元々非日常的なマンガだったが、
この片田舎に突然戦車が現れるという展開はあまりにもシュールすぎる
ここで対戦車ということはクラウザーは戦車以上に強いのだろう。
そのうち違和感無くガンダムでも出て来そうだ。
本当に、全体的に容赦のないマンガである。


「どんな手をつかっても…… きさまを殺す!!」
もう後がないローレンスは、悪魔の砲身をテリー達へと向ける!
十平衛の掛け声で四方に散るジョー達!!
しかし! ひとり動かない男がいた!!

「うわああ あぶねぇーっ
 にげろテリーッ にげるんだーっ!!」

テリー・ボガード。
彼はただひとり砲身と向き合い微動だにせず、爆発しそうな怒りを抑えるように俯いていた。

「レーザーのつぎは戦車かい つくづくどうしようもねぇ男だな」

戦車(持って来てるのがオカシイ)とレーザー(出せること自体がオカシイ)を
同列に並べるのは少し違う気もするが、脈絡の無さではその通りだ。

「もう ゆるさねぇ」

打ち出される砲弾!!

そして!!



うおおーっ スーパーバーン

ナックルーッ!!!





「男なら」

「拳ひとつで勝負せんかい!!」


もうなんでもアリですな、この人

以前にダックが「狼(テリー)は熊より強ぇ!!!!」と言っていたが、
狼(テリー)は戦車より強かった
充分、素手で戦場を渡り歩いて行けるだろう。素手で戦場の狼に出られるだろう。

「一体なにがあった テリー
 なにがおまえをそれほど強く!?」

イメトレで超パワーアップした男が何か言っている

私はそれを貴方に聞きたかった
貴方の身に起こったことのほうがよっぽど不思議かつ不自然でしたが、
しかし今となってはどうでも良いことだ。本当に、もうどうでも良いことである。

十平衛が言うにテリーのパワーアップは、
「いままでねむっていた力が記憶がもどるとともにふきでおったんじゃ」
ということだそうだ。

再び自分の原点を見つめることで、強くなる理由、強さの意味を魂の奥に焼き付けたテリー。
精神の解放が同時に気の解放となったのだろうか?
パワーゲイザースペシャルスーパーバーンナックル
一度は傷つき倒れたテリーが、皮肉にもビリーの言葉通り急激な成長を成し遂げ、
再び主人公に相応しい強さを手に入れて帰って来た!

「あの腕白ぼうずにゃ地獄の鬼も道をゆずるて……」

今度こそ十平衛の〆で記憶喪失編、堂々完結。

「さあて…… のりこむか ドイツへ!

舞台は最終決戦の地! ドイツへと移るのだった!!



男なら


拳ひとつで


勝負


せんかい!!