Battle 7
テリー・ボガード
VSタン・フー・ルー

傷だらけになりながら自分のマンションへ戻るビリー。
マンション住まいなのか、ビリー。
いや、だから何だということはないのだが、マンション住まいのようだ。


絵を見るにメチャメチャ普通のマンションである。

ヨロつく足取りでなんとか我が家に入るビリー。
しかしそこに低く、威圧的な声が響いて来た。

「なんたるザマだビリー……」




ギースさま!!

人の家勝手に上がり込んで大仰なソファー偉そうに座るこの漢は
紛れも無くあのギース・ハワードだ(黒いが)

ビリーがこんな豪華な椅子に座る姿はちょっと想像出来ないので、
これはギース様の持ち込みだろうか?
あるいはギース様用の椅子がビリー家には備え付けられているのか。

ビリーの傷ついた姿を見てタンに敗れたのかとビリーの首を締めながら問うギース。
これはタカラギースの必殺技、いやさお宝技、その名も『首締め』だろう。

振り絞るようにタンには勝ったことを告げるビリー。

「わたしの六角棍は…… た…… たしかに大人の……
 心の臓をつらぬきましてございます〜っ

「なにィ!? それは真実(まこと)だろうな」

さすがは日本かぶれのギース様、
どアメリカどマンション時代劇のようなやり取りである。
部下の教育もバッチリだ。
何はともあれシュチュエーションを考えると、普通のマンション普通ではない光景が生み出され、
そしてギース様も普通とは違うオーラを発散する、ボンボン餓狼1屈指の名シーンと言えるだろう。

それにしてもボス自ら実家にまで迎えに行くとはたいした可愛がりようだ。
世が世ならボンボン餓狼のヤヲイ本が出ていたであろう。
別にボンボンである必要は全くないのだが。

再びビリーに命令を下すギース。

「わしにたてつくのこりの三人 テリー アンディ ダック……
 この首即刻わしにさしだせい!!」

「は…… はは〜〜っ」

この相も変らぬ時代劇調のやり取りに目を奪われがちだが、
たてつくも何もこれは格闘大会だということを我々は忘れてはならない。
例え作者様が忘れていたとしても、我々だけは忘れてはならない。


必殺奥義 鋼霊身!!

これがギースも知らないタンの気功術らしい。
ということはこれをこれから伝授されるテリーも服を破り散らしながら巨大化するのか?
ギースは知らないのではなく、ただ使いたくないだけではないのか?

様々な疑問が交錯する中、巨大化したタン大人はテリーを見下ろしながらさらに拳を浴びせた。
その拳の重みに驚くテリーだが、
どちらかと言えば心臓をつらぬかれて生きているほうがビックリだ。

タン大人が気を溜め始める。
お約束で起こる地震。浮き上がる小石。
タン大人はそのまま10メートルほど跳躍して「ぬがあああっ!」と絶叫し、
波動旋風脚を繰り出した!


ドゴオン!



「岬のさきがふっとんじまった〜っ」

「みさきのさき」…… クスッ


岬の先と一緒に吹っ飛んだかに見えたテリーだったが、
「おれはそんなにのろまじゃねえ」と言いながら崖から這い上がって生還を果たしていた。
本人曰く「とっさに横へ逃げた」らしいが、
むしろ崖から落ちるほうが致命傷だと思うのだがこれは素人考えだろうか?

戻って来たテリー。
早速タンにバーンナックルを打ち込むが全く効かず、逆に旋風拳を喰らってグロッキーとなった。
さらに襟首を掴まれながら拳の連打を受けると額から流血が発生。
目に伝った血でテリーが視覚を失い空振りを繰り返すと、タン大人はその様子にキレて……


 死ね!

ダウンしたテリーにさらに顔を踏みつけてエグい拳の連打を浴びせるタン。
さすがに止めに入るアンディだがタンはアンディにも
「ひっこんでおれ〜っ!!」と拳の洗礼を敢行した。もうやりたい放題である

もはや完全KOのテリー。
朦朧とする意識の中で養父ジェフ・ボガードの声(霊)が響いて来る。
「心を無に…… 自然のままに…… 正しき姿でたて……」
助言を受けたテリーは再びファイティングポーズを取り、大地を強く踏み締めた。
「うわあああーっ」「テリーが」「たったーっ!!」
大騒ぎのダック、そして先ほど止めに入って殴られたアンディ。

立ち上がったテリーにゴリラのように拳の連打を打つタン。

「目でみなくとも…… 手でふれなくても……
 きよき心でたちむかえば相手のうごきがすべてわかる」


しかし、今のテリーにはかすりもしない。
「そうだ それが気だ それが気をあやつるということだ」
と、また出て来るジェフの霊。

そして放たれるテリー全霊の……

見開きパワーウェーブ!!

このパワーウェーブ問題だが、その後の調べで実は餓狼SPまでNEOGEO版の説明書でも
パワーウェーブだったことが発覚した。ウェイブで統一されたのは3からのようだ。
が、このマンガでは3でも相変わらずパワーウェーブ
SNKと違って信念を曲げないボンボンに乾杯!!


「うっぎゃああーっ!!」

絶叫して吹っ飛び、倒れるタン大人。
巨大化も解けたタンは「みごとじゃ みごとじゃったぞテリー」とテリーを称え、
撃たれた鳥のように力なく、自ら崖下へ落ちて行くのだった。

ありがとう じいさん……
あんたの教え…… ……無駄にはしない……

演出は70年代だが、感動の名シーンである。
気の使い方を教えたのは実質ジェフの霊であることなど些細な問題と言えるだろう。
結局、鋼霊身が伝授されていないことも、また些細な問題である。


自宅マンションの前、岬にテリー達はもういなかったとホッケーマスク兵の連絡を受け、
「みつかりませんですむとおもうかーっ!!」と荒れに荒れ狂うビリー。
と、そこに上空から落ちてくる植木鉢。割れ散らばる生け花。
反応して躱したビリーが上を見上げると、
マンションの最上階にテリー達3人がニヤリと笑って立っていた。

植木鉢を落として暗殺しようとする主人公など前代未聞である。
ここにボンボンのチャレンジャースピリットを垣間見ることが出来る
自然がキーワードの気功術だが、自然を大切にする必要は別にないようだ

そこから一気に飛び降りてビリーの前に降って来るテリー達3人。
ダックが自分の自宅マンションを教えたことにビリーは腹を立てた。

しかしマンションの最上階から簡単に飛び降りられては
つい先ほど岬から落ちて死んだタンの霊が浮かばれないと思うのだがどうだろう。
ギースがタワーの最上階から落下しても普通に着地出来そうなのだが、これは素人考えだろうか?
そろそろ7話も終わろうかと言うのに、ここへ来ておかしなシーンの連発である。

ギース親衛隊、ホッケーマスク兵に殴りかかり戦闘開始のテリーとアンディ。
圧倒的な強さを見せるふたりだが、そこへ赤いマスクの剣を持った大男が現れた!



「ああ! 赤面(レッドマスク)!! 殺人部隊長だ!」

いつの間にかノリが、聖闘士星矢になっている

「くかかかーっ その首かっきってくれるーっ!!」
間違ったテンションで襲い掛かってくるレッドマスク。
しかし自慢のソードもテリーに簡単に白刃取りされ、
「こんな刃じゃあ ハエも殺せねえぞ――っ!!」と一発KO!
なぜ銃社会の中、わざわざソードで襲って来るのかは謎だが。

ガラにもなく焦りを見せるビリー。
その様子を見てテリーは気付いた。

「自信家のおまえがこんなにたくさんの親衛隊をあつめたわけがわかったぜ……
 おまえじいさんとやりあったダメージがぬけてねえな……
 それでおれにもむかってこねえんだろう……」


親衛隊が集まっていたのはただ単に報告を受けていたからだし、
向かって来ないも何も突然親衛隊を殴り出したのは自分なのだが、
テリーはビリーが手負いであることに気付いた。

そんなビリーをテリーは「じいさんにならった気の力」で完全回復させた。
骨折すら一瞬で治るのだからそのじいさんの怪我も治せば良かったと思うのだが、
これは素人考えだろうか?

とにもかくにもお互いイーブンの条件で、テリーvsビリー戦がついに封切られたのだった。

「……ふ…… 礼はいわんぞ」