Battle 8
ビリー・カーン
VSテリー・ボガード

なぜかサブタイトルでビリーの名前が先になっている。
以後の活躍を見るに作者様はビリー好きと見たが、そんなことはどうでも良く、
ビリーは倒れ散る親衛隊を蹴り飛ばしてバトルフィールドを確保した。

さぁいざバトル! というところでダックの絶叫が響いた。
「あいつは十二歳の時にギース親衛隊三十人を殺したほどの男なんだぞ――っ!!」



十二の子供を三十人で囲むホッケーマスクの男達。
ビリーがビックリしてしまうのも無理はないだろう。

「歩く凶器」と呼ばれるビリーの話を聞き、「うげら」と奇妙な声を発して驚くテリー。

「クク…… しっていたらわたしとやるのはさけたとでも?」

「へへ…… かもね」

「クハハ このうそつきが
 それがわたしをおそれている男の顔か?
 話をきいてどちらがつよいかますますやりたくなったというところだろう?
 おまえはわたしとおなじにおいがするからな……
 
血にうえた餓狼のにおいがな!!

「へへ…… ビリーさんよ ふたつめの答えはまちがいだ
 おれはあんたのような殺人鬼じゃねえ…… ただ
 
負けるのがきらいなだけだぜえっ!!

ボンボンらしからぬ(ビリーが紳士口調なのを除けば)
非常にカッコ良いやりとりと共に打ち出される両者の拳! 脚! 棍!

そして飛び出したのは棒投げ奥義! お宝技!

 旋風飛翔棍炸裂!!

なのだが、旋風飛翔棍と言えばビリーがKOF'95に出場した際に
強襲飛翔棍なのに間違えて名付けられていたKOFオリジナル必殺技だ(技自体は強襲飛翔棍)
KOFスタッフはKOFビリーを作る際にうっかりお宝技を参考にしてしまったのだろうか。
お宝情報
タカラ餓狼の説明書、攻略本等でこの技は
旋風飛翔棍だが、
徳間書店版攻略本をソースに
回転飛翔棍という説もあるらしい。
もはや何が真実なのか渾然一体の状態だ。
しかしせっかく気を出しているのだから棒くらい別に驚かず、
普通に跳ね返して欲しいものである。

餓狼1で棒を投げてしまったビリーと言えば
((((;゜Д°)))ガタガタガタ あの((((;゜Д°)))ガクガクブルブルが思い起こされるが、
このマンガでは投げた棒は
ブーメランのように戻って来て再びビリーがキャッチ。
どうやら風雲拳も取り入れているようだ。
負けるのが嫌いと宣言したテリーにビリーは、
一度敗れて強くなることもあると、かつて自分がギースに敗れたときのエピソードを語り出した。


大人気ない


ビリーの棍とテリーのリーチ差を解説するアンディ。
これでは間合いに入れない!

尚、典型的解説係、テリーマンポジションのアンディが一行に加わったことで、
ダックはことあるごとに「ウゲゲーッ!!」等の奇声を発する以外、
仕事がなくなったことをここに書き記しておこう。


ダック
「ゲゲー!
 なんだあれはーっ!!」

アンディ
「そういえば聞いたことがある!」


しかしリーチ差を構わず一気に間合いを詰めるテリー!
当然の如く飛んで来るビリーの突貫烈破棍!!
危ない、テリー! テリーに何か策はあるのか!!?


ああー!!






!?


「ヘヘ…… 素手でうけたら骨がくだけるからね」



???




頭蓋骨を貫通する棒が
なぜそんな石で防げるのですか!?








彼の頭はその辺の石以下なのですか!?


いつの間にあんな石を!?とか、素手で受けたら骨が砕けるからね! とか、
そういう問題じゃない!
どうなってるんだ、このマンガは! どうなってるんだ、このマンガは!

そのままお宝技、集点連破棍を繰り出すビリー!
それをことごとく石で防ぐテリー! もうなんだかわからん! もうなんだかわからん!!
もうなんだかわからんのでここで豆知識コーナー。
この『集点連破棍』は元々お宝技だったのですが、その後なんとSNKオフィシャルで採用され、
そのまま餓狼シリーズやKOFで登場しているんですね。驚きですね。

その連続棒突き技、集点連破棍を全て石で受け止めるテリー。
「あれではうけている石がもたない」とごもっともな解説をする解説役のアンディだが、
それはまぁ当然だろう。誰にでも分かる。
そしてついに石は砕け散り、棒がそのままテリーの顎にHITした。
必要以上に一撃必殺なビリーの棒をまともに受けたテリーの生死が気がかりだが、
持っていた石のおかげで威力が半減したらしく、なんとか立ち上がった。
なぜそこまで石にこだわるのか。その石は何で出来ているのか。

頼りの石も砕け(そんなもんに頼るな……)窮地に立たされるテリー。
しかしテリーは気転を利かせ……




汚い。普通に、汚い

植木鉢暗殺未遂に続いてこの凶行。どうもボンボンテリーは汚い


目潰し作戦が成功し、ついに間合いに入ったテリーは
ここぞとばかりにバーンナックルを放ち、不沈のビリーからダウンを奪った!
そして続け様に入る驚きのダックとアンディの解説!

「うっわああ やったあーっ」

「ビリーはくらう直前にうしろにとんだ それだけパンチがあさくはいったんだ」

だがテリーは攻撃の手を緩めず、さらにパワーウェーブを撃つ!
それを棒を回転させて受け止めるビリー!
そう、餓狼2の旋風棍を使ったビリーはゲーム通りにパワーウェーブを消したのだった!

再び間合いを離したビリーが今度は棒高跳び蹴りで逆に一気に間合いを詰める!

 飛翔脚!!

餓狼1の通常技の資料がないのでなんとも言えないが、
棒高跳び蹴りの名前は餓狼1では飛翔脚だったのだろうか?
そもそも餓狼1は通常技に名前が付いていたのだろうか?
どちらにせよひとつだけ確かなのは、
こんな通常技に飛翔脚の名を使われてはキムの立場がないということだろう。
お宝情報
寄せられたタカラ餓狼攻略本情報により、タカラ餓狼でのこの技は紛れも無く飛翔脚と断定。
よって餓狼1には通常技にも名前が付いていることが判明した。


壁に叩きつけられたテリーはビリーに左手を突かれ、拳を潰されてしまった。
さらに右拳も潰され、


「うっぎゃああっ!」


「おがっ おがっ おががっ」


「うががああーっ!!」


と、生々しく絶叫。

両の拳を砕いたビリーはこれでテリーの牙をもいだと宣言する。
「牙をもがれた狼は――― もう闘士ではない!!」

飛び散る鮮血の雨。滅多打ちにされるテリー。
そしてトドメの一撃はテリーの頭へと照準を合わされた! 危ない!

「なめんじゃねえ…… おれはまだ狼のままだ」

おれはまだ狼のままだ! 跳躍してビリーの棒の上に飛び乗るテリー!
そこから繰り出されたのはタン先生のあの技ぁ――――ッッ!!


 波動旋風脚ーっ!!

拳を挫けば肘で這い! 脚を挫けば膝で這え! タン先生直伝の波動旋風脚!
それでもまだ倒れない執念のビリーに!
トドメの見開きクラックシュートォ!! を顔面に落とし、完全決着!!
白熱のテリーvsビリーはテリーの勝利に終わったのだった。

敗者は死するがこの街の掟。
殺せと懇願するビリーにテリーは「おれは殺人鬼じゃねぇ」と言い残し、
マンションを後にするのだった。


なんとも盛り上がったこのバトル。
中盤に何か変な展開があったものの作者のビリー好きぶりが窺える、
ボンボン餓狼1最高の一話と言えるだろう。
このボンボン餓狼は外伝的な短編や、本編の一部分は非常に面白い。


一方、全く出番が無くなったジョーはその頃、ついにギースタワーに辿り着いていた。



やはりギースのらしい。