頂上決戦最強ファイターズ 2Dvs3D会議
「ぃよぅ! ソワレ様の登場でござ〜い! ってことで、はい兄貴、バトンタッチ」




「うむ、アルバ・メイラだ。今日はよろしく頼む」




「…………」




「……ほら、お前、先行け」




「あ、はい。僕からですか。月華の剣士の楓です。
 一応、同タイトルで主人公をやらせて頂いています。よろしくお願いします」




「そして満を持して登場したこのわいがわざわざ説明せんでもええやろうけど、
 誇り高きヤングタイガーことロバート・ガルシア様っちゅうこっちゃな」




「やぁやぁ皆さん、今日はよく集まってくださいましたな。
 私が司会を務めさせて頂く…… そうですな。
 ハイエナとでも呼んで頂ければ結構。よろしくどうぞ」



「で、このハイエナ野郎。わざわざ俺達を呼び出して今度は何を企んでやがんだ?
 事と次第によっちゃあ今すぐとんぼ帰りして貰うぜ? でっかいタンコブこさえてな!」




「おお、それはご免被りたいですなぁ。なるほど、では早速本題に入りましょうか。
 今度、KOF MAXIMUM IMPACT 2が発売されるのはご存知で?
 あ、ご存知。それは幸い。
 そこでユーザーの皆様の気持ちを代弁する私めとしては、
 対戦格闘ゲームは2Dと3D、一体どちらが優れているのか、直接話し合って頂きたく、
 両タイトルから主人公格の皆様をお呼びしたというわけですな」


「あ、なるほど! 今や2D格闘と言えば龍虎の拳。
 さらに言えばART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝?っちゅう流れを読んで
 わいに2D主人公の代表としてオファーを出したっちゅうわけやな?
 いやぁハイエナの兄ちゃん。いやオッサン? どっちや。(微妙な面やな……)
 まぁええわ、お前さん、なかなかお目が高いでんなぁ」


「いえいえ今やドリームマッチシリーズ以外で3D化していないタイトルは龍虎の拳、
 月華の剣士、風雲シリーズだけであるからして、
 本来は主人公のリョウ・サカザキ氏をお招きしたかったのですが、
 なにぶん彼は何度も3D化の実績があるために適任ではないと判断したわけですな。
 そこは私としても断腸の思いでの妥協であったわけでして……」


「何や、このオッサン調子乗っとるで」




「あ、はい。そうですね……
 ところで、風雲シリーズの主人公さんは呼ばれていないのですか?」




「呼んだ方がよろしかったでしょうか?」




「…………」




「…………」




「……要らねんじゃね?」




「……ああ、要らんな」




「ではそういうわけで、両サイドの主人公の皆様に
 早速話し合って頂きましょうか」




「ちょう待てぇ、お前、ハイエナ。
 わいは始める前にここでひとつ言いたいんやけども、
 そこのグラサン兄ちゃんと、猿顔の兄ちゃん?
 こいつらそもそもホンマにMAXIMUM IMPACTの主人公なんか?」


「おやおや、いきなり白熱の予感ですな」




「何言ってんだ、アンタ。俺達以外に誰が主人公だってんだよ。なぁ兄貴?」




「私もそのつもりで重責を感じているが」




「いやいや、わいには何でお前らがそない自信満々なんかサッパリ解れへんのやけども。
 公式サイトのCM動画観たったらお前、お前ら兄弟何もしてへんやなかい。
 何も技出してへん。むしろひたすらタコ殴りにされる役やないかい。
 これどういうこっちゃ?」


「…………」




「…………」




「いやこれホンマ煽っとんやなくて素朴な疑問やねけども。
 お前ら何しとんねん? 何で主人公やのにお前らやられキャラやねんな」




「……確かに不思議ですね」




「2Dファンの血を沸かすっちゅうか、
 その前にお前ら兄弟が血ィ吹いてんねんな、殴られて」




「ん、んなことねぇじゃんよ!?
 俺と兄貴だって活躍してるって、ほらこのシーンで」








「……右端か?」




「左から二番目ですよ」




「中央の二人だよ! 何でわかんないの!?」




「せやかてロゴで隠れとるんやもんなぁ。判り難ぅて敵わんわ。
 もっとこう、主人公やったら判り易ぅ顔をアピールするもんとちゃうの? こないな感じに」








「卒業アルバムじゃん、それ! 欠席のヤツじゃん!
 何でデビュー作でそんな卒業みたいな雰囲気出さなきゃなんないの!?」




「伝統ある先輩達を立てた、ということにしておこうか」




「いやはや、早速弁舌をふるって頂いて結構結構。
 ところで、司会の私としましては、結論に至る段階での
 ジャッジマンも兼ねさせて頂こうと思っているわけですが」



「え? 貴方がですか?」




「ハッハッハッ、その通り。
 僭越ながら私は公平な視点には定評がありましてね」




「いえ、ですが、僕も隠しキャラのキング・デューク氏を出すために
 MAXIMUM IMPACTのストーリーモードはクリアさせて頂いたのですが、
 貴方と宵闇のアンジュさんは懇意な間柄なのでは……」



うおおおい! ちょ、なにキャッチコピーの方で呼んでんの、アンタ!? 待てぇ!」




「え? いえ、確かに説明書の貴方の所に宵闇の……」








「うおおおい! 待て待て待てー! 待てぇぇぇ!!




「な、何か?」




「アンタ、宵闇のて、お前、そういうのはだな!
 説明書とかナレーションで呼ばれるからカッコ良いんであってだな!
 シラフで何だ、お前は! 真面目な顔して何が宵闇のアンジュか!!」



「名前の一部とちゃうんかいな?」




「何で小さい方の字を名前と間違うんだよ!
 宵闇のアンジュって、どこの国の人間だよ、俺は! どんな風習の名前だ!
 あ、兄貴もちょっとコイツらに言ってやってくれよ!」



「……ああ、私も暁の悪魔と呼ばれてはいるが、
 そういうのは説明書やナレーションで呼ばれるからカッコ良いのであって、
 シラフで言うものではない」



「そうだ! 解ったか!」




「は、はい、申し訳ありませんでした」




「何でマジギレやねんな。まぁ何でもええねんけども」




「頼むよ、ホント」




「話を戻そうか。楓君達はソワレとハイエナの関係を疑って、
 公平なジャッジに疑問を持っているわけだね?」




「いやはや、これはお耳が広いですな。
 どうしたもんですかね? ソワレの大将」




「ったく! 冗談じゃねぇぜ。誰がてめぇとつるんでるって?
 心配要らねぇ。俺はハイエナ野郎なんざ全然信用してねぇからよ」




「これは手厳しい。2D代表のお二方、そういうことでよろしいですかな?」




「まぁわいは別に何でもええねんけども、ぶっちゃけた話、2Dで決まりやろ」




「ほほぅ、その心は」




「いや何、2D独特のスピード感と駆け引きが面白いねんな。
 通常技を目押しで固める連携とかやな。
 3Dは何やリアルかも知れんけど、もっさりしとってようやらんわ」



「おいおい、アンタMAXIMUM IMPACTはやってねぇのかよ?
 MIにはちゃんと2Dの駆け引きとスピード感が継承されてんだぜ?
 それを言うならむしろアンタの出てる龍虎の拳の方がもっさりしてんじゃねぇか」



「何やと!?」




「あ、あの、ですが、僕達のゲームのファンの方々は
 そのほとんどが2D格闘ゲームが好きで付いて来てくださっているわけですよね?」




「それは否定はしない。
 だが、MIでは公式サイトのMOVIEにもある通り、
 ジャンプ攻撃からのコンボや、単発小足キャンセルからの超必殺技など、
 2D格闘の要素が積極的に盛り込まれている。
古くからの2D格闘のファンにも充分に楽しんで頂けるのではないかな?」


「兄貴の言う通りだぜ!
 迫力の3Dビジュアルで度肝を抜きつつ、2Dファンにも応えるゲーム性!
 これぞ扉は開かれた!って感じ?」



「ほほぅ、ではビジュアル面にも目を向けてみましょうか」




「やはり3Dに慣れ親しんだ世代の子供達や、海外を視野に入れても、
 一般にインパクトを与え易いのは最先端の3D映像ということになるだろう」




「まぁドット絵は正直、もう古いよな。
 最近のSNKのゲームは出る度にレビューで“ドットが粗い”の大合唱じゃねぇか」




「……時代の流れか」




「アホぬかせ! お前メガネに度が入ってへんのとちゃうか!?
 ドット絵にはドット絵の味っちゅうもんがあるんじゃ!
 そもそもわいの顔はぜんぜん粗ないわい! 湯上がり玉子肌じゃ、ボケ!」



「……それは失礼した。言葉を誤った非礼は詫びよう。
 だが、私も頭ごなしにドット絵を否定するつもりはないのだ。
 その辺についての話し合いも煮詰めて行きたいと思っている」



「あの、僕思うんですよ。
 僕らのドット絵って、もう伝統工芸の域に入ってるんじゃないかって。
 確かに最新ハードではいずれ滅び行く運命かも知れませんが、
 芸術は時に人を選ぶものですし、そこにもうきっと、古い新しいという概念はないんだ」


「なるほど、素人がピカソを論評するようなものというわけか」




「あぁ…… そういう考え方もあるかもな」




「なるほど、素人がボボボーボ・ボーボボの絵を論評するようなもんやな。
 お前さん、地味なチョンマゲやと思うとったが、なかなかええこと言うやないかい」




「どうも、ありがとうございます。
 2Dと3D、これからもお互いの良さを引き立たせ合う、良い関係でありたいですね」




「ほほぅ、キレイにまとまったものですな。
 では3D格闘とはいえMIは2Dのゲーム性と融合し、両面を取り入れ、
 またグラフィックについては2D、3D、互いに良い面があると。
 なるほど、これは甲乙つけ難い。いやはや、この会議は無粋でしたかな?」


「あ、ちょっと待ってくれ。
 でもよ、リアルタイムで無限の演技が出来るってのは3Dならではの強みだよな?
 直接ゲーム性には関係ねぇかも知れねぇけど、
 そこはしっかり注目して貰わねぇといけねぇよ。俺頑張ったんだから」


「あ、はい。
 MI2ではストーリーも大変凝られているそうですし、僕も楽しみにしています」




「うむ、今回は公式ストーリーのテキストにも大きな力が注がれている。
 発売までそこから想像を膨らませておくのも良いだろう」




「そうか? わいはあのストーリーが気になってしゃーないんやけども」




「おやおや?」




「ど、どこがだよ!? 恐れ多いぞ、アンタ!
 ちゃんと読んだのか? どこを切り取っても文句の付けようがねぇじゃねぇか!」




「そうだな、私達兄弟のキャラクターとしての外堀を埋めつつ、
 メインストーリーに関わる謎の美女の淡い香りを匂わせる完璧な試合運びだ。
 さらにオフィシャルサイトでもBlogを好評連載中のKOF マキシマムインパクト2、
 脚本、ストーリー担当「嬉野秋彦氏」によるサイドストーリーも堂々完成。
『サンズ・オブ・フェイト』『背中』『夜のガスパール』三作の内、
ユーザーの皆さんの一番関心の高かったストーリーを特別公開。
4/21正午まで投票を受け付けている。
逆に、貴方がどこに疑問があるのかに私は興味を惹かれるよ。
尚、投票はお一人様1票までとさせて頂きます。ご了承ください」


「いや、サイドストーリー特別公開は別にええねんけども、
 舞ちゃんのストーリーがやな。
 なんでそないアルバ・メイラ、お前、急に宣伝口調やねんな。社員か?」



「不知火舞さんが、何か?」




「いや、舞ちゃんは別にええねんけどもな」




「ほほぅ」




「じゃあ何だよ!? 一体何が不満だってんだよ!」




「答えて貰おうか」




「いや、舞ちゃんのストーリーで、アンディがやな。
 KOFの招待状受け取りながら“私は今回は出場しない”言うとるわけやけども、
 これ“
私は今回出場しない”の間違いちゃうんかなぁ?
 思て気になってしゃーないんですわ。どない思います? 皆さん」


「…………」




「…………」




「…………」




「…………」






KOF MAXIMUM IMPACT 2 公式サイト 不知火舞STORYより


「これ“私は今回出場しない”の間違いちゃうんかなぁ?
 どうなんやろ? なぁハイエナ」




「……いや、それは、私としましても…… どうでしょう?」




「…………」




「……話題を変えよう」




「そ、そうですね」




「と、とにかく、MI2を買ってみれば解るってことだよな! なっ!」




「うむ、初回生産版にはプロダクションIG制作のオリジナルアニメーション、
 The King of Fighters:Another Day全4話に加え、
 キャラクターの設定画や、スタッフによるアニメーション音声解説、
 さらに、英語吹き替え版などの特典を収録した、スペシャルDVDを同梱。
今すぐ予約に走れ!」



KOF MAXIMUM IMPACT 2


「MI2では私もハッスルさせて頂いておりますからな!
 これは是非とも、ファンの皆様には手に取って頂かねばということで!
 それでは、本日は会議へのご参加、誠に有難う御座いました!」



「おおぅ、お疲れ!
 いやぁ長いこと堅い話しちまったんで肩こった肩こった」




「大将にも意外な弱点があったということですかな?(笑)」




「まったく、お前は」




「ハハハハ!」






KOF MAXIMUM IMPACT 2 公式サイト 不知火舞STORYより


「わいはこれアンディが見栄張って“今回は”言うてもうたんちゃうかな?
 ニラんどるんやけども」




「あ、あの、もう終わったみたいですよ、ロバート・ガルシアさん」