あず画伯
弟会議 特別編
「やぁ! 餓狼伝説の美形キャラ、アンディだよ!」




「おお!? アンディさん、今日はお早いですね。
 私も会議開始の30分前に来たのですが」




「フフッ、実は今日は重大発表があってね。
 ついつい浮かれて早く……いやいや、その準備を行っていたのだよ」




「重大発表、ですか?
 また我々弟キャラの歴史に新たな一歩を刻むような?」




「まぁ、そういうことになるだろうねぇ」




「なるほど、それは興味深い」




「ああ、興味深いさ。
 ところでキミは? 何をしている人かな?」




「え!? いや、私は」




「ぅうおおおおっしゃぁああ―――ッ!!
 サムライスピリッツの弟キャラ! 風間蒼月の弟、風間火月だぁぁ―――ッ!
 俺は年中、熱射病だぜオァラァ─―─ッ!!」



「あ、あれ!? アンディさん!?」




「アンディさん!?」




「やぁ! 久しぶりだね。餓狼伝説と月華の剣士の弟キャラの少年達!
 存分に成長期を満喫しているかな!?
 少年はよく食べ、よく運動し、仕上げによく寝ないと絶対駄目だぞ!
 お兄さんとの固い約束だ」


「は、はぁ、今日はまた一段と早いですね。
 何か差し迫った話でも?」




「ふふん? 差し迫ったというか、
 まるでギャグ漫画のように差し歯が飛び出る驚きの話というか、何だね」




「えー、どうも。風雲黙示録及び風雲SUPER TAG BATTLEの弟キャラ、
 マックス・イーグルと言います。兄の名はアックス・イーグル。
 恐らく現在、真獅子王と」



「長いな、キミ。もうその辺で良いだろう?」




「……あ、はい」




「フフフフフ……今日も良い天気だなぁ。
 さぞかし干した布団がほかほかになることだろう」




(何か今日、機嫌が良くて逆に気持ち悪いですね)




(ええ、かなり気持ち悪いです)




「ところで諸君、コイツを見てくれ。
 はて? これはいったい何だろうねぇ?(ペシペシ)」




「え、いてっ! 何スか、そんな紙切れで俺のほっぺた叩いたりして」




「紙切れだって? ふふん、これが本当にただの紙切れなのかなぁ?(ペシペシ)」




「ちょ、ちょっと、角はやめて下さいッス! 切れるッス! 紙で切れたら超痛いッス!」




「あのー? いったい何があったのでしょうか?」




「聞きたい? あ、やっぱり聞きたいのかい?
 みんなやっぱり聞きたいよねぇ? じゃあ話しちゃおっかなぁ?
 どうしよっかなぁ?」



「…………」




「…………」




「え、何? 少年達も聞きたいって?
 声が小さいな。そんなにボソボソ喋っていちゃお兄さんには聞こえないぞ?
 何だい? どうしても聞きたいのかい?(ペシペシ)」



「……は、はい」




「……はい」




「ああ、そうかそうか。じゃあ話すしかないのかなぁ、やっぱり」




「アンディさんの身にいったい何が? その紙はいったい?」




「アンディさんの身にいったい何があったっていうんだ―――ッ!」




「フフフ、そうか、仕方がない。それでは話してしまおうじゃないか!
 そうだな、あれはロバートさんのKOF12参戦が決まり、
 そしてなぜか僕だけに招待状が届かず、
 もう道場で静かに首を吊ろうと丈夫な縄の準備をしていたとき――」


「……それはまた他の道場生達にも迷惑な話ですね」




「……自殺者が出た道場なんて、門下生は集まるのでしょうか?」




「……物件としても買い手が付かないだろうしな」




「そう、僕がまさに静かにその生涯に幕を下ろそうとしていたそのとき!
 郵便局の人が届けてくれたんだよ、このはがきを!」




「その、年賀状の残りのはがきにいったい何が?」




「ピシッ! ピシッ!」




「お、おぅっ!」




「そんな年賀状の残りだとかそういうことはどうだって良いんだ!
 問題はこのはがきに書かれている内容だろう、どう考えたって!」




「あ、は、はい」




「ずばり言って、実はこのはがきがSNK PLAYMORE社からで、
 しかも
KOF12の招待状だったんだよ!」



……!?




……!?




「ぅうおおおおぉぉぉ――――ッ!!
 年賀はがきがSNK PLAYMOREでKOF12の招待状だったぜ―――――ッ!」




「フフフ……実はそうだったんだよ」




「……は、ああ、そうですか」




「ん、ん? どうしたんだい?
 キミはリアクションが薄いね、顔は濃いのに」




「あ、いえ、アンディさんにKOFの招待状が来るのは毎年のことだと思っていたので」




!? ま、まぁ、そうなんだけどね。
 キミ達は知らないのかな? 今回のKOF12はすべてHD画質で描き直されているんだよ!
 その舞台に出られるということは、まさに弟キャラの鑑、美形キャラの証というかね」



「ほ、本当にアンディさんに招待状が届いたのですか!?」




「オンディの方の間違いでは?」




オ、オンディ!? 誰なんだ、それは!
 正真正銘、僕に届いた招待状に間違いない!」




「そうだぁ―――ッ!!
 間違いねっぞぉぉ――――ッ!!」




「そういうことだから、今日は実は会議で集まって貰ったんじゃないんだ。
 僕の新たなる門出を祝って、祝賀パーティーを開くことにしたんだよ!
 さぁ今日は僕の奢りだ! 干し肉、干し飯、干しぶどう何でも用意したから
 冷めない内に遠慮なく食べてくれたまえ!」


(なぜ干した物ばっかり……)




「おっしゃ―――ッ!!
 今日はひたすら飯を食っぞぉぉ――――ッ!!」




「あ、はい。頂きます」




「あぁ、そうだ! 乗馬マシンも人数分用意して来たから、
 好きなだけエクササイズも楽しめるぞ!」








「乗馬マシン? これはただのパイプ椅子では?」




「ああ、キミ達は知らないだろうけど、
 これをこうやって、逆向きに座ってギッコンバッタンやると、
 乗馬マシンと同じ効果が得られるんだよ。
 さぁ、みんなやってみようじゃないか!」



ガタッ! ガタガタッ!


「…………」




「…………」




「……これは結構、疲れますね」




「ま、まぁ、エクササイズだからね。
 それ相応には疲れるものさ」




「超楽しいッスよ、コレ! 無理なく楽しくエクササイズを継続出来るッス!」




「そうだろう?
 今日はまだまだアトラクションを用意しているから楽しんでいってくれたまえ!
 さて次は――」



「……あの、アンディさん?」




「ん? どうしたんだい?
 まだ乗馬を続けたいなら言ってくれたまえ。エクササイズは格闘家にとっても大切だからね」




「……い、いえ、乗馬はもういいのですが、その、アンディさんはもちろんその……」




「何だって言うんだい、崇秀君まで歯に干し肉でも挟まったような物の言い方をして」




「はい、その、もちろんアンディさんはKOF12の出演依頼はお断りするのでしょうね?」




「はぁ?」




「いや、だって我々は一応、SNK PLAYMORE社のゲームからは
 ストライキ中の身ではないですか」




「はい、ここでアンディさんがその禁を解いてしまっては、
 今までやって来たことの意味がなくなるのではないでしょうか」




カッ!




「うっ!」




「おま、お前達は何を言っているんだ!
 せっかく依頼が来たんだから出るに決まってるでしょうが!」




「で、でしょうがって。し、しかし、ストライキが」




「何がストライキだ! そんなモンあるか、そんなモン!
 僕は単に出演の依頼がないだけで、自主的に出てないわけじゃないんだ!
 せっかく4、5年振りに新作の依頼が来たんだから出るに決まってるでしょうが!」



「え、ええ!?」




「ア、アンディさん!?」




「アンディさん、それは一体!?
 アンディさんは招待を断り、自ら率先してストライキを行っていたのでは?」




「……あ」




「アンディさん、これはどういうことでしょうか?」




「アンディさん!」




「アンディさん!」




「……いや、実は、何だね」




「実は、何でしょうか?」




「アンディさん?」




「アンディさん?」




うぶぅ! 実は、僕は嘘を吐いていたんだ……
 僕は本当は、本当に4年も5年も新作への招待状が来なくて……
 やることと言えばこんな会議くらいしかなかったんだよ……
 だから皆を呼んで集まってたんだ……ニートだったんだよ!
さながら格闘ニートだったんだよ、僕は……! おーいおいおい!」


「…………」




「…………」




「…………」




おーいおいおい! おーいおいおい!




「……あ、あの、KOF12、おめでとうございます」




「あ、はい、おめでとうございます」




「……おめでとうございます」




「!? そんなバカな! こんな僕を! こんな僕をキミ達は祝ってくれるのかい!?」




「……は、はい」




「ええ、ストライキばかりしていても目立った進展はありませんでしたし、
 誰かが前に出て弟キャラをアピールすることも必要かも知れません」




「そうですね、私もこのままストライキを続けても、
 単純に私達が忘れられるだけのような気がしていました」




「おめでとうございます、アンディさん」




う、うぶぅ! 楓君、崇秀君、早乙女君……! ありがとう!
 キミ達は本当に気の良い仲間だよ! はがきが来なかったらこの公民館に全員を集めて
 無理心中を図るつもりだった僕が恥ずかしい……
 ありがとう! 本当にありがとう!」


「……いえいえ、え?」




「無理心中……!?」




「じゃあ僕は美形会議の方も卒業の手続きを取らないといけないから、
 今日はもうお開きということにしようかな?
 あ、残ったのは銀紙に包んで持って帰って良いからね。それじゃ!」



「……は、はい、どうも」




「がんばってきてください」




「……ありがとうございます」




「じゃあみんな! 今日は本当にありがとうねっ!
 さぁ、餓狼2レベルの斬影拳でハメまくるぞー!」





「…………」




「…………」




「…………」




「……これで、良かったのでしょうか?」




「……はぁ」




「……あの、早乙女というのは私のことなのだろうか?」




「超楽しいッスよ、コレ! 乗馬マシン最高ッスよ、アンディさん!
 あれ? アンディさんは? まぁいいかコレ超最高ッスよ! ガタッ! ガタタタッ!」




「…………」