這炎ドット師 KOFヒロイン会議
「KOFのヒロイン、麻宮アテナでっす!」




「KOFのヒロイン、不知火舞よ!」




「KOFのヒロイン、ユキです」




「侍魂及びKOFのヒロインをやらせて頂いているナコルルです」




「KOFのヒ、ヒロイ…… 言わなきゃダメなのか?」




「言わなくても良いですけど、これはKOFにおけるヒロインは誰なのか?
 といういまいちあやふやになっている問題を話し合う会議ですから、
 キングさんも立候補された以上は自信を持っていただかないと……」



「いや、ただ呼ばれたから来ただけで立候補した覚えはないんだが……」




「まぁまぁ良いじゃないですか、キングさん。
 結果は見えてるんだし、心配しなくてもキングさんが選ばれることはありませんよ」




「まぁ。舞さんはよほど自信がおありなのですね」




「当然よ! というより、何であなたがここに居るのかしら?」




「わたしも2000にストライカーで出演していますので」




「たったそれだけでKOFヒロインに立候補してるわけ!?
 ちょっとあなた、図々しいとは思わないのかしら?」




「まぁまぁ良いじゃないですか、舞さん。
 レオナさんに連絡を入れたところ興味がないとのことでしたので
 私がたまたま空をさまよっていた聖霊さんに声をかけたんです」



「この手の話題はわたしが居ないと始まりませんから、
 厳しいスケジュールの合間を縫って参加させて頂きました」




(大丈夫なのかしら、この会議……)




「ちょっと待て! 強制参加じゃなかったのか!?」




「ええ、キングさんは2002で切られて暇そうでしたので
 初めからリストに加えさせて頂きました」




「確かに暇には違いないがそういう問題じゃないだろう!?
 私がヒロインってガラかどうかくらい少し考えれば……」




「そうですね。脱落者の方は落伍者なりに
 場を盛り上げて頂ければ良いのではないでしょうか?」




「い、言うわね、この聖霊さん……」




「テーマがテーマだけに殺伐としがちですけど、
 わたしは楽しく皆さんとお話がしたいですから」




「じゃあ、とりあえずこのメンバーで良いですね。
 ではまず私の主張から良いですか?
 私は'94でも申しました通りSNKヒロインの元祖なので、
 SNKオールスターズであるKOFの
 正統ヒロインと認識されても何も問題はないと思いますがどうでしょう?」


「異議あり! 私の実績を知っててその口開いてるのかしら?
 だいたいアニメにもなってないのにヒロイン気取るなんて10年早いのよ!」




「同感です」




「でも、私はピンで実写ドラマ化しましたよ?」




「私達だってCMで実写化くらいしてるわよ!」




「実写の話はやめましょう」




(ナコルルさんの実写に一体何が……)




「やっぱりわたし達は二次元のキャラクターなのですから、
 アニメ化の方がステイタスだと思います。
 わたしのようにイメージビデオが出るくらいでないと話になりません」



「はん! イメージビデオですって?
 貧弱な身体見せて媚び売っただけじゃないのかしら。
 やっぱりアニメの華は映画よね。劇場デビューしてこそのヒロインよ」



「巨大スクリーンで乳振り回す下品な人に言われたくはありません。
 それにあの映画のヒロインはスーリアさんじゃないですか。
 参考までに、わたしはわたしが主役のビデオを三本も撮っています」



「何よ、あんた。刃物も鷹もないのに私とやろうっての?
 傘ではたき落とすわよ」




「ちょ、ちょっと落ち着かないか? お前達。
 ユキが怖がってるじゃないか」




「だ、大丈夫です…… ちょっと格闘家の皆さんに圧倒されちゃって……」




「そう言えば居たわね、あんた。
 どう? 京くんとは上手く行ってるわけ?
 やっぱりヒロインはカッコ良い彼氏持ちじゃないとねぇ」



「不潔です」




「私も同感かな。事務所にも言われてるんですけど、
 アイドルにはスキャンダルが一番の敵ですから」




「は? あんたはケンスウくんっていう立派なスキャンダルがいるじゃないの」




「誰ですか? それ」




(怖い女ね……)




「アテナさんの気持ち、解りますね。
 わたしにも言い寄って来る殿方が後を絶たないわけですが、
 三流の彼氏はマイナスイメージでしかないので
 その度に死んだりして避けているんですよ」


「ちょっと何よ? アンディが三流だって言いたいわけ?」




「そんなことはないですよ(笑)」




「きゃっ!!」




「ちょ、ちょっと待て、舞! 傘を振り回すのはやめろ!
 私達ならともかくユキに当たったら怪我じゃすまないよ!?」




「ハァ…… ハァ…… な、何、ほんのジョークですよ。
 本気にしちゃいました? ホホホ」




(帰りたい……)




「でもやっぱり、半端な彼氏持ちは諸刃の剣ですよ。
 ヒロインを名乗るなら『主人公の彼女』というポジションは外せませんし、
 それを外したら急転直下で脇役ですしね」



「同感ですが、わたしは侍魂では主人公兼ヒロインなので、
 その機会さえないんですよね」




「何よ! アンディは脇役だって言いたいわけ!?
 アンディだって立派な主役の一角よ!!」




「まぁまぁ落ち着け、舞。
 私も主人公と近い位置に居るのがヒロイン、
 という理論は間違ってないと思うよ」



「えっ? じゃあ私がヒロインですか?」




「あなた、デモにしか出番がない分際で図々しくはありませんか?」




「アナザーストライカーのあんたがよく言えたものね」




(ごめんなさい、ごめんなさい……)




「だいたいあんたの彼、ガルフォード?
 あの人なんてストライカーでさえ出番ないじゃないの。
 零サムではついに犬に独立されてるわよ」



「わたしは聖なる巫女ですので殿方と不浄なお付き合いはしません」




「ホーホホホ! よく言うわ!
 ナコルル 〜あのひとからのおくりもの〜 郷里之畏友編で
 幼馴染の婚約者に言い寄っていた女が!」



「な、なにを言っているのですか!
 あれはわたしのプロモーションの一環としてですね!」




「だいたい公式サイトに全2巻構成って書かれてるイメージビデオだけど、
 2巻はいつになったら出るのかしら? 1巻の発売日がもう2年前よ?
 これは一体何を物語ってるのかしらねぇ?」



「あ、あなたはなぜそんなにわたしのビデオに詳しいのですか!」




「敵情視察は忍の十八番! あなたのことなら何でも知ってるわ!」




「プ、プライバシーの侵害です!
 そこまでする必要がありますか!!」




「あるわ!!」




「何ですか!!」




「あなたのファンなのよ!! 文句ある!?」




「……実はわたしも、舞さんのファンなんです」




「……私達、出会った場所が違っていたら良い友達になれたかもね。
 でも今は、退けない闘いの場だから」




「そうですね、正々堂々と競い、互いを高め合いましょう」




「あの、キングさん。どういう展開なんでしょうか?」




「……司会はあんただろう? 私に振るなよ」




「ねぇねぇみんな揃って何やってるの? また格闘大会?」




「まぁクーラちゃん。これは格闘大会じゃなくてね、
 KOFのヒロインは誰なのかを話し合う平和的な会議なのよ」




「でも殺気が漂ってるよ……?」




「まぁ…… 色々あってね」




「クーラちゃん、これはSNK最大のヒットタイトル、
 KOFのヒロインを決める大事な会議なの。
 遊んでるわけじゃないのよね。だからクーラちゃんはお家に帰りましょうね」



「えー? クーラもヒロインやるよ?」




「あなた、たった数度の出演で図々しいとは思わないのですか?」




「えー?」




「簡単に言うとね…… ガキの出る幕じゃないのよ!
 ケツまくって帰んな!!」




「……そうなのよ、舞さんとナコルルさんが大人気ないケンカしてて、
 もう見苦しいっていうか、ケバいっていうか。
 まともなのはキングさんだけっていう状況。最悪ぅー
 よく京はこんなケダモノ相手に格闘して…… あれ?」


『ん? どうした、ユキ』

「お姉ちゃん、誰にTELしてるの?」




「離れた方と会話できるなんて、科学万能の時代ですね、舞さん」




「そうね、そして現代にはこんなモノもあるから記念に見て行くと良いわ」




「ヒィィィィ!!」




「お、おい、舞! 銃刀法違反だぞ!?」




「最近のKOFは銃火器OKなのよ! 外道がァァァッッ!!」




「ユキさん、私の後ろに! リフレクター!」




「そのような防壁で私を遮れて!? 不知火、究極奥義ィ!!」




「きぃやゃあああああぁー!!」




「ああああぁぁぁー!! 火がぁぁー!!」




『おい、どうした、ユキ!? 火? 八神か!? 八神の野郎だな!?』

「熱いの嫌い…… クーラ帰る。バイバイ」




「ではわたしもこの騒乱の中で
 誰がヒロインにふさわしい清楚可憐なキャラクターかは
 一目瞭然ですので帰らせて頂きますね」



『ちっくしょぉお、八神の野郎ォ!
 いくらド腐れなてめぇでも女に手ぇ出すとは思わなかったぜ!!
 もう手加減しねぇ! ぶっ殺す! 絶対ぶっ殺してやる!!
 そこで待ってろ、八神ィ!!』


「わ、私も店があるんでね。悪いけど後は任せたよ」




『八神ィィィィィィィッッ!!!』