1998 686M 
ゴージャスにいこうぜ。
KOFの最高傑作は何?
そう聞かれるとマニアはまず間違いなくこの作品を挙げるでしょう。

他シリーズの人気が堕ちて行く中、このKOFだけは勢い衰えず、
もはや完全にSNK、いやNEOGEO=KOFといった図式となっていました。
そしてこの年の夏も例外なく発売されたKOF。
今作は原点に還り、ストーリーなしのドリームマッチとなっています。

そうです。人気キャラが死亡したり身を引いたり、
ストーリーの都合で出られなくなるという不測の事態を招き賛否両論だったKOFに
あの人たちが帰って来るのです!

マチュアが! バイスが! ルガールが!
親父チーム! そしてアメスポチームがぁぁ!!


アメリカンスポーツチーム アメスポチーム

い、いらねぇ……

それよりボスチーム出せ! ギース出せよ! ギース!
オロチをよ! ゲーニッツを出せっつってんだよ! 影二も忘れちゃいけねぇんだよ!
それがなんでアメスポに親父なんだよ! もうオレわけわかんねぇよ!!
SNKのドリームマッチじゃなくてKOFのドリームマッチなのね……


……ん? あれ? おや…… じ……?


KOFに息子、娘を輩出しているお父さんキャラと言えば……

京パパ草薙柴舟……
元祖親父サカザキ・タクマ……

そして…… そしてぇ! ああ!

'96出演藤堂香澄の父!


えいやー!


来たァ――――――ッ!!



まぁハイデルンだったんですけどね(´∀`)y-。oO○

藤沢画伯

このゲームが最高傑作なのは当然「キャラが多い」などという理由ではありません。
完成していた'97のシステムをさらに完璧にしたKOFの最終結論、
極まったゲーム性がその所以です。

まずシリーズ通して強すぎたコマンド投げの弱体化。
失敗時に空振りモーションが付いたおかげでノーリスクとは行かなくなり、
さらにジャンプ攻撃から直接投げる連続技は受け付けなくなりました。
とはいえそれでも充分強いので投げキャラ大幅弱体化とはなっていませんが、
この辺のバランスは投げ好き、投げ嫌いにも納得でしょう。

もう一つの強力システムである小、中ジャンプ攻撃も、
基本的に必殺技、特殊技でしかカウンター扱いにならなかった今までとは違い
カウンターを取れる技となり、ほどよいリスクが生まれました。
ゲージ関連も洗練され、後ろのキャラほどゲージストック限界が増えます。
が、その代わりMAX超必殺技を使うとパワーMAX解除となり、
MAX超を大連発とは行かなくなりました。

また普通に考えて不利だったエキストラモードは小、中ジャンプの導入や、
'95にあったカウンター(避け)攻撃の復活で
充分アドヴァンストと渡り合えるようになりました。
勿論、問題だった技暴発も改善され、もう何も言うことはありません。
細かい部分まで文句なしのシステムです。

そしてさらにある今作を最高傑作たらしめている最大の理由は――

対戦バランスが奇跡的に良い!

SNKゲーは全体的に対戦バランスが悪く、使用キャラが偏るのは至極当然。
末期にもなると強力戦法が明るみになりとても浅い対戦になってしまいます。
というかこの時期はもうプレイヤーがこ慣れており、
発売直後に永久コンボ等を発見するなど日常茶飯事となっていました。

しかしこの'98は…… 奇跡的にバランスが良い! バランスが良いのです!
それ故、今尚色褪せることのない魅力的な対戦が楽しめる! 最高!
当然、お気に入り度はMAXとさせて頂きます。

難点を挙げるならば、完成されてしまったが故の新鮮味の希薄さでしょう。
今までは毎年違った操作感覚が'97〜'98間では変化なし。
スト2より始まった格ゲー人気、及びゲーセン人気も勢いを失いつつあり、
次のKOFに一抹の不安を感じざるを得ませんでした。

名作の影に潜む終焉の予感。
終わりの時は刻一刻と近づいていたのです……

JJ画伯

ちなみに'98移植版、DCのTHE KING OF FIGHTERS DREAM MATCH 1999も
旧時代の過去作移植なのに珍しく良い出来になっています。
名前は(他も少し)違うけど。つか紛らわしい。

紛らわしい

しかしこれ、ただの'98のアッパーヴァージョンで何もドリームマッチではないのだが、
何でも最初は歴代キャラを総出演させようとしていたところ、
制作期間の関係で結局無かったことになったんだとか
そんなインタビューを読んだ記憶があるが定かではないので余り信用しないで下さい。

KOF'98 STORY

いや、無いんだけどね。

KOFSPとも言える今作の注目と言えば勿論ラスボス!
KOFボスの象徴たるルガールはすでにプレイヤーキャラとして登録されており、
混迷を極めるラスボス予想となってまいりました!

やはり本命は地球意思オロチ!
CPUの凶悪さ故、オロチ四天王最強の印象が強いゲーニッツ!
そしてラスボスの中のラスボス!ギース・ハワードの最強ボスチームかぁぁ!?

にしても凄いね。
餓狼や龍虎じゃ街の支配者とか犯罪組織とかと戦ってたのに
KOFはアレだよ。相手ほとんど神
なんかもうムエタイチャンプとかテコンドーの達人とかじゃ勝てる要素ないよ。
勝てるわけない。もうみんな人間じゃない。人間じゃないよ。

で、注目のラスボスはと言うと……

えー、ルガールがパワーアップした、オメガ・ルガールでしたっと。はい。

PICKUP
FIGHTER
裏リョウ
裏ロバート
決め台詞  暫烈拳!
 幻影脚!

いつからだろうか、極限流に魅力を感じなくなったのは。
ふと自分が飽きたのかな? と思いながら原作龍虎をやってみると
しかしこれがやはりカッコイイ。痺れるぜ、極限流。外伝も雰囲気だけは痺れるぜ。

ではなぜKOFの極限流は魅力が薄いのか?
虎煌拳が飛ばなくなったから? 暫烈拳がないからかな?
いや考えるにそんな部分的なことではなく、
原作が持っている技の重さが全体的に消えてしまっているからだろう。

象徴的なのが走りながらやたらと連打するどうにも軽い、
ただ手数が多いだけの龍虎乱舞。
しかもおとなしい奴が怒ると怖い系のはずのハードなリョウが
「極限流奥義! オラオラオラオラオラァ! もらったぁ!」
などと戦闘狂のようにノリノリで叫んでおる。
重い打撃を一発一発ビシビシリズムよく叩き込むのが龍虎乱舞の真髄だろう。
龍虎2の乱舞は今や無数に存在する乱舞技の中でも最高の乱舞だ。

飛燕疾風脚も接触してから追撃の二発目が出る重さを失い、
なんだかヘッポコな多段技になっている。
ロバートに至っては飛燕旋風脚などというまた段数が多いだけの軽い技になった。
そこに龍虎の拳での伝統、疾風脚フィニッシュ。
一発目でトドメを刺し、スローモーションで二発目追撃を見るという
独特の快感はあろうはずがない。

そのクセ毎回のように強そうな漢字を組み合わせただけの
ショッボイ名前の突進技が加わっているのがまた解せぬ。
そんなものを入れずに疾風脚を龍虎版に戻せ! と言いたい。
オリジナルを尊重してない良い証拠だオラオラァ!

トドメに極限流を象徴する技、暫烈拳(幻影脚)の喪失。
そこにもはや我が愛しの極限流の姿はなかった。

だからだろう。
理由も気付かぬまま自然に龍虎チームを使わなくなっていた。

フクドット師

などと個人的な思い入れを吐き出させてもらったがしかし!
ファンのそんな思いを汲み!
今回の'98には裏キャラとして原作に近いヴァージョンの極限流が入っているのだ!
もちろん虎煌拳は飛ぶし! 暫烈拳も復活! ウヒョー! たまんねぇ!
ま、通常技は変わらないし、リョウの疾風脚はダメ疾風脚のままなんだけどね。

他にもリアルバウト餓狼2に準じた裏餓狼キャラ含む、
多数の裏キャラが搭載されていてKOF好きにも原作好きにも対応。
まさに最強のKOFなのでした。過去作から選りすぐられた楽曲群も最高だね。

及川画伯

JOE伝説出張版

と書いたばかりなのだが、原作ヴァージョンに近い裏龍虎キャラ、
RB2の技を装備した他の裏餓狼キャラと違い、
裏ジョーだけがなぜか餓狼2〜SP時代に退化しており、
技が加わるどころか技を失い、押しも押されもせぬKOF'98最弱キャラとして君臨した。

え? なにこれ……? 社会的制裁……?

れっせー画伯

空耳'98

▼オレってチ●●ねぇー!

何で真吾の空耳はこんなのばっかなんだ!
狙ってるのか!? 狙ってるんだな!?

THE KING OF FIGHTERS'98
          ULTIMATE MATCH

公式Web
THE KING OF FIGHTERS'98 ULTIMATE MATCH 廉価版
家庭用製作発表から紆余曲折を2年くらい経て、
結果的にKOF'98からちょうど10年、2008年に、
SNK PLAYMOREからリメイク作品がアーケード、家庭用共に発売された。
その名もTHE KING OF FIGHTERS'98 ULTIMATE MATCH!
イヤッッホォォォオオォオウ!
これは、原作'98にあった小さな不満をさらに煮詰めた作品となっていて、
ボスチーム、影二、香澄、そして歴代のボス、中ボスといった、
98年までに存在した全てのKOFキャラクターが使用可能(ボスは家庭用のみ)となり、
さらに新技も追加され、売りのゲームバランスも再調整が成されている。

過去の名BGMやSEも復活し、まさに1998年に誰もが見た夢が現実化した格好だ。
'95京等はヒット、ガード音まで'95になってしまうので、同じ攻撃でもあのパチン!
という音を聞くと'95の攻撃力を思い出し、不必要なプレッシャーを感じてしまうだろう。
原作餓狼、龍虎に即した裏キャラの追加やこだわりも嬉しい。
KOFの決定版として申し分のない出来栄えである。裏ギースは烈風拳も飛ぶ!

ただ、ゲーニッツ、オロチらボスキャラに対人戦用の調整がされておらず、
対戦で使うにはあまりにもアンフェアなのが残念。普通に使いたかったんだけど……
>MMBB THE KING OF FIGHTERS'98 ULTIMATE MATCH

システム変更としてはエキストラがさらに強化され、
加えて各システムを組み合わせられるアルティメットモードが追加されている。
それでもやはりアドヴァンストがやや使い易い感はあるが、
その他のモード、組み合わせが弱いとは一概には言えない。
アドヴァンスト以外も充分、選択肢に入るだろう。詳しくは公式サイトでいいかな!

THE KING OF FIGHTERS '98 ULTIMATE MATCH Master Guide

望月の乱

THE KING OF FIGHTERS'98 ULTIMATE MATCH オリジナルサウンドトラック NEOGEOオンラインコレクションの一環として作られている今作では、
当然、NEOGEO音源の他、NEOGEOCD他で使用された
アレンジBGMでもゲームをプレイ出来るのだが、
アレンジに設定すると、裏舞の曲「まいまいきゅーん」が、
望月双角の曲、「TAKU-HATSU」になってしまう。なぜ? なぜ双角?
という疑問の声が後を絶たなかったわけだが、どうやら間違ってしまったようだ。
くれぐれも、隠しで双角が出るわけではない

RBSPアレンジサントラの珍曲、「Dear 舞 BOY」になるよりは良かったのかも……

4dam画伯