1994 202M 
今度は何処で真剣勝負!
予想外のサムスピ大ヒットによりソッコー作られた新作サムスピ。
新キャラ、新システムを加えたヴァージョンアップ版と言っても良いゲームです。

しかし、その加えられたシステムが土下座みたいな伏せ動作や前転、後転、
退き込みダッシュや踏み込み前転、下段避け等、
侍のクセに妙にせせこましいシステムばかりの上にほとんど使い道なし
頑張って使い道を考えれば、覇王丸の大斬りを伏せで躱す(これは有名テクニック)、
中突きを前転で潜りながら肉を取る(反撃までは難しいのでせめて肉を……)、
後転で間合いを調節する、くらいでしょうか?

SNK伝統の蛇足システムにしても、
あっても無くても別に構わないが使っても特に面白いわけでもない、
といったCDのオビのような存在感の新システム群でした。

他の一応なんとか使って行ける新システムとしては、
狙ってはほぼ無理なものの喰らう瞬間にガードで相手に隙を作る見切りの境地、
ブロッキング系の元祖とも言える受け返しシステム。
そして次に、当て身投げ風にコマンド入力で出せるようになった
素手状態での真剣白刃取りでしょう。
ワンクッション置かずに攻撃へ繋がり確実にダメージを奪えるので、
この二つは対戦で発動すると目を見張るインパクトがありました。

が、超シビア&状況限定のためこれも結局はほぼ使い道なし
さらに隠しコマンドで人形化等、
世界観ぶち壊しの狂った進化を遂げました。
(※この謎の人形化はクレーンゲームのサムライ人形とのタイアップだったらしい)
どうもこの真サムは全体的に無駄なチューニングを施された作品という印象です。
まぁそれだけ前作の完成度が高かったということなのですが。

そんな中で確実に、大きく、激しく闘いに影響を与える追加システムが、
カウンターと武器破壊技です。

カウンターはそのまんまカウンターでダメージが増えるという
別にわざわざ説明するまでもないようなシステムなのですが、
これがまた厄介なことに技後の硬直に斬られてもカウンター扱いになるので、
全体的に必殺技の隙が大きいこのゲームでは、迂闊に出すとご臨終。
せっかくダッシュからレバーを入れたままボタンで投げられる等、
通常投げが非常に決まり易くなったことで前作で問題だった待ちは崩し易くなったのに、
ここまで技後カウンターの影響が大きいと結局攻めに使える技がありません。
ほとんどの必殺技が出したら…… ギャース!!

怒りゲージ満タン時のみに使える武器破壊技も、
当たれば一定時間素手状態の相手をいたぶれるというメリットはあるものの
上記の例に漏れずガードされたらカウンターで即死のため、
とても出す肝っ玉を搾り出せないのです。

とらお画伯 なんだか大味になったし右京強すぎるしで
前作超えは果たしてないけど、
新キャラ、新技追加で相殺して、
結局、お気に入り度は変動なしということで。
基本的に今作は前作よりもカドが取れて、
どのキャラを使ってもある程度闘い方が見えるようになっています。
その為か大衆人気はこの真サムが一番のようで、
そのカドが好きだったマニアックな初代信者とは相容れないようです。
どちらの気持ちも解るので、どちらか選べと言われたらやっぱり難しい。

サムライスピリッツ 破天降魔の章

ちなみに何が覇王丸地獄変なのかサッパリ意味不明でしたが、
アニメ版サムスピでは香取慎吾声のヒョロイ覇王丸
劇中に隠しコマンドを公開するというなんとも斬新な趣向をプレゼントされていました。

が、剣光よろしく技を出す際に閃光の走った方向がコマンドという
わけわからん公開方法だったために誰も気が付かなかった地獄変。
そもそも0.5秒くらいの剣光であのクソ長いコマンドを解読出来るか!



PICKUP侍
牙神幻十郎
決め台詞 身の程知らずが!

当時はカプコンキャラがあまり喋らないこともあり、役者を声優に起用し、
多彩なボイスでペラペラ喋るSNKキャラのインパクトは計り知れないものがあった。
ゲーセンでボイスが響き渡り、それによって人を惹き付けていた面を考慮すると、
大容量NEOGEOゲーの最大の演出武器だったと言って良い。

餓狼2での短いながらもセンスの良い決め台詞で注目された後、
龍虎2での長台詞はもはや今までの“声を発する”というレベルではなく、
まさにキャラクターが“喋る”というというところまで来ていた。
デモではなく、自分の操作でキャラが喋るという演出は
プレイヤーに今までにない爽快感、そして一体感を与えてくれた。
SNKキャラにゲーム史上で例がないほどに
次から次へと人気が出たのも当然と言えば当然だったのだ。

そんな中、とにかく必殺技は勿論、通常技からダメージ、ジャンプに至るまで
喋らせて喋らせて喋らせ倒そう、という流れから生まれたのが、
この覇王丸の兄弟子にしてライバル、牙神幻十郎だったと言えるだろう。
彼は、とにかく喋る。というか、叫ぶ。

とりあえず彼を選択するとどぅりあーッ!
強斬りを出すとどぅりあーッ!小斬りでもどぅりあーッ!
バックダッシュでもどぅりあーッ!小足連打でもしようものなら
どぅりあーッ! でゃあッ! ぎやあーッ! どぅりあーッ!

SNKは少々やりすぎてしまった
何もバックダッシュにまで叫び声を当てる必要は無かった

セリフ関連も、
「ひとつ! ふたつ! みっつ! 猪鹿蝶!」「身の程知らずが!」「阿呆が!」
「それだけか!」「もう殺ス!」
「ひとつ! ふたつ! みっつ! よっつ! いつつ! 五光!」
「散れィ!」「ぅやるなぁ」「貴様などに屈するとはァ……!!」

などと喋り倒しだ。幻十郎と相対したならば静かな時間などない。

また個性的なボイスと共に花札をシンボルとした技の数々も無闇やたらと魅力的で、
FFの召喚獣が如く長演出を見せつける系の昨今の格ゲーよりもよほど使って、
見ていて楽しめるだろう。幻十郎の技は技演出界の至宝だ。

餓狼SPの巨悪、ギース・ハワードが思い掛けず大きな人気を生んだことで
格ゲーキャラにもダークヒーロー需要が満ち溢れ、
そこで供給されたこの幻十郎もやはり狙い通りの人気を誇った。
キャラコンセプトや半裸&袴姿などギースと共通する点も多いことから、
ギースの先祖などというデマが飛び交ったのはご愛嬌。
デビュー時の幻十郎の人気はナコルルと双璧、あるいはその上を行っていた。

のだが、見た目だけで目を引くファッショナブルな容姿とは言い難いためか、
ルックスに凝った新キャラが増えるたびにかつての人気はどこへやら、
だんだんと目立たなくなって行った印象がある。
他シリーズながら同系キャラの
八神庵に喰われたという要素も大きいのではなかろうか。
シリーズごと喰われたと言ってしまえばそれまでだけどネ☆

またお相手の覇王丸が割と他のことに夢中で、
その目は常にボスの魔物や鬼へと向けられており、
ライバルとの決着という部分にストーリー上、
重きが置かれていなかったのも影が薄くなった原因だろう。
もっとも、その覇王丸自体が度々ストーリーの中核から外れるのも
また問題なのだが……
それを言うなら初代ではライバル位置に居たはずの右京のほうが悲惨だった。

テリーとギースのように作品の肝になっているわけでなし、
リョウとロバートのように主役を分け合っているわけでなし、
京と庵のように協力してボスを倒すわけでなし、各々が修羅道を歩みながら、
天がひとたび彼らを惹き合わせれば、ニヤリと笑って斬り結ぶ。
そんな関係がサムライライバルなのだ。
何はともあれオールドファンには印象深い、名キャラなのは間違いない。

ちなみに京、庵を筆頭に違う意味のマニアな方々に
よくホ●カップル化されるライバルキャラだが、幻十郎は普通に●モです。
正確には両刀で、覇王丸への執着も……

淳之介画伯 最後にこれはポリサムの話になるが、
彼は2のEDで覇王丸との果たし合いの最中、
ふいに現れた少年に親の仇と背中の傷を刺され、
その生涯を閉じているようだ。
相手が覇王丸でさえなければ反応できただろうに……
実に“らしい”最期に胸を打たれる。
PSの甦サムのEDで
覇王丸が亡き幻十郎に語りかける姿は感慨深い。

PICKUP侍
ナインハルト・
ズィーガー
決め台詞 ヴァー!

ゲーメストの粋な計らいで発売前から人気沸騰だったこのズィーガー。
その経緯は秘密のズィーガーを見て頂きたい。
しかし、それを知らずとも刃物使わんでなんかひとりだけ拳で殴ってるハゲに
興味を惹かれるなと言ったほうが無理な話だろう。いや無理だ(断言)

ここではあのバーチャ2崩撃雲身双虎掌の元祖と言っても
過言ではない気味の世界初の投げコンボ!
ティーガー・コップ⇒ファルケ・ナーゲル⇒エレファント・グリードを公開だ!

見よ! 半裸巨体から繰り出される華麗なスライディングを!


ティーガー・コップ!


さらに怒涛のアッパーで天高く浮かせるぅぅ!!


ファルケ・ナーゲル!!


そして自らも跳び上がりィィ! 止めだ! 叫べ! ヴァー!!


エレファント・グリィィドッ!



ヴァー!!



ハァ…… ハァ……
満喫していただけただろうか。

魅力に満ち溢れるコップ三段だが、このゲームのお約束として
隙の大きい必殺技をガードされたら即死なのでコップ外す=ギャース!!
しかもスライディングのクセに普通に立ちガードされる

コップに生命を捧げるコップマニアにはそれもまた美学と言えるが、
ズィーガーの基本的な闘い方はジャンプ弱拳orボディプレスで跳び込んで
着地後にものすんげぇ削るヴルカーンで削った後、
またバックジャンプで去って行くというパターンのループである。
巨漢のクセにセコイ

這炎画伯

PICKUP侍
チャムチャム
死に台詞 ネタリロクワカケー……

色んな意味で漢達の目を白黒させたタムタムの妹、チャムチャム。
とりあえず、サムライではない
サムライでない輩など他にも無数に存在する……
というよりもここだけの話、サムライキャラのほうが少ないのだが、
こやつはことさら、サムライではない
サムライどころか、一見人類であるかさえ微妙である。ネコ耳である

ズィーガーとは違う意味でまた浮いた新キャラだ。
耳やしっぽはただの飾りで一応立派な人類らしいが……
この娘にサムライ魂はあるのか!? 魂的に!

ケイゴ画伯 現代ならば、ウヒョー! チャムチャムたん萌ゑ〜☆と
特定ファンが付くのは間違いない、
というか、事実今になって
そういう人気(萌ゑ人気)が出ているようだが、
当時は“ゲームはやらずにキャラ萌ゑonly”
というファンは皆無と言っても良い、
逆に言えば格ゲーキャラはゲーセンに足を運ぶ人のみの
狭い範囲のヒーロー、ヒロイン達だったために
広い人気はなかったし、
また、ナコルルも同様だが、そういう人気を狙って作られたキャラでもないだろう。

事実、故ゲーメストの真サムムックの人気投票では1位幻十郎、2位覇王丸、
そしてなんと3位にナコ、チャムチャムに至っては8位という低迷ぶりだった。
10位のズィーガーと死闘を演じている

では何を狙って作られたキャラなのかと考察すると、それはひとえに、ギャグ。ネタ。
サムライの世界にネコ耳しっぽ娘を入れてみるぜー!
という、浮きっぷりを狙ったネタ。
SNKはネコ耳かよ! しかもタムタムの妹かよ!
と、ツッコんで欲しかったのだ、多分。いやまず間違いなく

このネコ耳しっぽにプニプニ肉球というアイテムは
アーケードの権威雑誌、故ゲーメストで、軟弱者の象徴! だけど大好き……
という、漢の矛盾を説くネタとしてよく用いられていたので、
そこを突いたボケでもあったのだろうなぁ(遠い目)

フクドット師 ちなみに声は元アイドルで、かなり人気があったように思う中、突然引退し、
いち早くネットに目を付けてコンピュータ会社を作ったり、
ゲームを作ったり色々したNEOGEOびいきの電脳アイドル(死語)、
チバレイこと千葉麗子さんです。
実写ナコルルやKOFEXの葉花萌の声としても微妙に有名。

ちょっと検索してみたら今や仕事歴が、
『総務省ユビキタス社会における
 住民サービスの高度化・多様化に関する懇談会委員』

とか凄いことになっていました。

TJムック「千葉麗子のDVDdeヨーガLesson」 <DVD> で、今はヨガをやっているらしい。

本当に凄い人だ…… 棒読みだけど……

真空耳スピリッツ

▼チッチ揉んで!

「〜マ●毛!」説もあるが、いずれにしても品のないズィーガーの空耳。
「ディッヒ ファンゲン!」と言っている、ヴォルフ・ファンゲンのボイス。

▼ん〜 ラブリ〜〜ン!

本当は「ウングラオプリヒ」と言っているズィーガーのボイス。
ラブリーなのはお前だ。

奇妙鳥類画伯