第五章 死兆一族

ルイの危機を(電波で)知り、ルイの村へ歩く三人。
ルイが危ないのだからせめて走れ

ルイの村へ到着すると当然の如くもう手遅れだった。
死兆一族と名乗る怪しげな集団がルイを連れ去ったらしい。


今度は死兆一族の城へ向けて歩き出す三人。
フリフリ服のリンがかわいらしいが、彼女の実年齢はいや何も言うまい

20秒ほど歩いて子供達の話を聞き、
さらに30秒歩いたところで老人が恐怖に震えて座り込んでいた。
老人は見たのだ。
かつて、世紀末の荒野を拾い上げた伝説の漢……



世紀末覇者 ラオウの姿を……!

ラオウは生きている。老人は確かな口調でそう語った。
リュウケンが生き、トキが生き、ジュウケイが生き、黒夜叉が生きていたこのSS北斗、
今更、誰が生きていようと何の衝撃もないのだが、これがラオウとなると話は違って来る。

「北斗の長兄、世紀末覇者ラオウ……!
 最強の男と成らんが為に、全てのものを捨て、
 非情の掟を自ら架した激情の漢……!」

合っているような合っていないような説明をモノローグで語るケンシロウ。
ラオウの幻影が、彼を知る三人を激しく揺さぶった。


30秒歩いた先の死兆の城は絶句せざるを得ない不気味さだった。
淀んだ風が人骨の埋め込まれた柱を駆けて行く。

現れたのは鬼のシェルガと名乗る、



フドウのコピペだった。
フドウの血を引く重要なキャラに思われるだろうが、前章で書いた通り、
ここまで来るとコピペキャラに設定などはない
このシェルガもただなんとなく似ているだけである。
最初は高いテンションで設定を考えていたが途中からどうでも良くなったのだろう。

「オレの行く手を邪魔する奴は、全て倒す」

すでに眼がすわっているケンシロウの言葉を豪快に笑い飛ばし、
シェルガとのバトルが始まった。
だが鬼の連射パッドの前には成す術もなく、倒れるシェルガ。
彼を庇ったのは小さな子供達だった。

彼が養っている、親を失った子供達。
設定もフドウのコピペである。

シェルガはケンシロウの力を測っただけだった。
彼の本当のあざなは“山” 山のシェルガは、自らを新五車星と名乗った。

城へ入るとルイがお姫様のように玉座に座っていた。
暗黒の北斗は天帝を狙っている。
ならばこそ新五車星は正体を隠し、名を死兆一族と偽ってルイを匿った。
それこそが新五車星の頭、海のリハクの知恵だとシェルガは語った。
リンの電波は外れた

しかし何故よりにもよって死兆一族なる不吉な名に……


 

風のダン、炎のガッシュ、雲のウジョー。
いずれ劣らぬコピペキャラ達。
だが、ジュウザのコピペ、ウジョーの声は島田敏(アニメ版ユダ役)である。
何か間違ったコピーがなされている




奥へ進むと未だに生きている海のリハクがいた。
南斗が復活しているにも関わらず、
天帝守護の新五車星などをやっている元南斗の将の守護者、海のリハク。
元斗があの惨状ならば仕方がなかったのか。
それとも南斗から左遷されたのか。

リハクが語るラオウの幻影…… それは、それこそが北斗無明拳、ゼンオウ。

「ゼンオウはその全身に、闘神ラオウの魂を受け継いだのです。
 拳の真の達人の魂は繰り返し生まれ変わり、その度に強さを増して行く」


彼はどうやらボケが進んだらしく、ゼンオウにはラオウの生まれ変わりだと主張した。
リハクの話はまだ続く。

「天帝の光は人々に希望を与えます。
 南斗牙猩拳ギャランが己を見付け、魔導琉拳ホシムがその魔闘気から救われたように、
 その気高さに触れた者は、心洗われ、自分の本来の姿を取り戻します」


やはりボケが進んでいるらしく、
リンと接点のなかったギャランまで天帝の功績にしている天才軍師海のリハク。
ギャランはリンの人形を作っただけである。

暗黒の北斗の天敵は光。
それ故にゼンオウは天帝に執着し、抹殺を企てた。
そしてまだその野望は抉るように進み続けている。
もはやゼンオウとの激突は避けようがなかった。

そこで、シェルガから報告が入る。
近くの龍虎の谷にゼンオウが現れたらしい。
そしてそのまま天帝を求め、この城へ進軍している。
ケンシロウは迷わず立ち上がった。

だが、リンを残し、龍虎の谷へ向かう途中のケンシロウとバットを派手なバイクが遮った。
乗っているのは雲のウジョー。
「よぉ、ケンシロウさん! オレと勝負してくんねぇか?」
ユダボイスで馴れ馴れしく語り掛けて来るウジョー。
ケンシロウは無言のまま勝負を承諾した。急いでるんじゃないのか。

そして我流、無形ゆえに誰にも読めない連射パッドの威の前に倒れるウジョー。
するとケンシロウの力を認めた彼はバイクを指差し、「乗りな!」と言った。
そして歩くシーンを挟まずに直で谷へ到着する三人。

ウジョーは神


龍虎の谷――
それはかつてラオウとジュウザが闘ったあの谷にソックリな場所だった。



佇むはラオウのコピペ幻影、ゼンオウ。

「ゼンオウ! お前の野望もここまでだ」

「ケンシロウ…… 千数百年の暗黒に耐えて来た我が拳の怨念……!
 たっぷりと教えてやろう。
 北斗神拳最強伝説はここに崩壊する!」


琉拳から流れて数年かじっただけで無明拳千数百年の怨念を背負うゼンオウ。
よほど辛い修行の日々だったのだろう。

さて、バトルかなとその辺に転がった(※)連射パッドを構えたところで異変が起こった。
※基本的に勝手にアニメが進み、ポーズもかからないため他にパッドを使う機会がない
連打もしていないのにケンシロウが勝手に闘い始めている。
どうやらオートイベントらしい。

北斗百裂拳を浴びせるケンシロウ。
だが、バーン! というショッキングな効果音だけが鳴り響き、



デッサンの崩れたゼンオウは無傷のまま存在した。

「ぬぁ――はははっ! 貴様はまだ七つの秘拳を得ていないようだな!
 ならば! このゼンオウの前では赤子同然!」


そう、すっかり忘れていたがトキの忠告通り、
このゲームではどういうわけか七つの秘拳なくしてはゼンオウには勝てないのだ。

ケンシロウが現在、水影心で得ている秘拳は、

【南斗水鳥拳】 飛翔白麗
【南斗牙猩拳】 天空剣波
【元斗皇拳】 黄光刹斬
【北斗琉拳】 暗琉天破
【我流】 呼雲流栄拳

それに加えて北斗神拳の秘拳、無想転生の六つ。
まだ一つ足りないのだ。

ゼンオウの拳を受け、ケンシロウは大流血を伴って倒れた。
ケンシロウ敗北。だが止めを刺そうとするゼンオウをウジョーが裏声で止めた。
「待てぇー!」
この勝負は預かったとゼンオウに挑むウジョー。
その陰で五車星など所詮は屑星と笑うゼンオウの目を盗み、
バットはケンをバイクに乗せて走り出した。

「おのれぇぇ!」と怒りに震えるゼンオウ。
やはり事前の予想通りうっかりしている性格のようだ。

オートイベントで展開されるゼンオウ対ウジョー。
この闘いは戦闘シーンのアニメ流用で2分以上続いた。

「雲のウジョー…… 未来の希望のための捨て石となろう!」

そう宣言し、裏声でゼンオウに飛び掛かったウジョーはやはり敗れ、その命を散らすのだった。
さらば、ウジョー。バイクの恩は忘れない。


「ウジョー…… ウジョーが死んだ……」

どこかの小屋で治療を受け、寝ているケンシロウが目覚めた。
テレパシーでウジョーの死を知ったケンシロウは拳を握り、彼に供養の言葉をかけた。

「安らかに眠れ、ウジョー。
 お前の秘拳は、オレの中に生きる……」

だが、ここでこうして寝ている間にもゼンオウは進軍している。
城のリン達が危ない。クワッと眼を見開いたケンシロウが城へと急ぐ。

城では、新五車星の残り、風のダン、炎のガッシュ、山のシェルガがゼンオウと闘っていた。
だがどんなに拳を打ち込んでもゼンオウは、



バーン! というショッキングな効果音と共に無傷。
三人は敢え無く屍を晒し、子供達の泣き声だけがその場に残った。

ケンシロウ達が到着すると、リハクもまた瀕死の状態だった。


「ルイ様とリン様をゼンオウに奪われました……
 海のリハク、一生の不覚……
 ゼンオウがあれほどの強大な力を蓄えていようとは、
 このリハクにも読めなかった……」


お前は何度、一生の不覚をやっている
お約束の神経を逆撫でするセリフを言い残し、海のリハクはついに死亡した。
原作でも何故か死なず、延々生き続けた命がついに枯れ果てた瞬間だった。

心よりご冥福をお祈り致します。

「ゼンオウ……! 許さぬぅぅ……!
 お前だけは許さぬぅぅぅ……!!」

「リンに何もしてやれなかった……!」と世話になったはずのリハクの死はスルーして
リンのために泣くバットは城に残し、ケンシロウはゼンオウの城へと向かった。




バイクを使えェェェェ!!

どうやら最後まで歩くシーンを見せ付けないと気が済まないらしい。



「ケンシロウ!よく来たな!」

その道中、恥ずかしい仮面で正体を隠す仮面の将なる男がケンシロウを待っていた。
闘いが始まると彼は、「北斗百裂拳!」等と腹の底からシャウトし、
その正体がトキであることを全く偽装していない声からも露呈した。

闘いの果てに仮面が割れ、「ト、トキ……!?」と激しく動揺するケンシロウ。
さすがはアミバとトキの区別も付かなった漢である。
そう、仮面などという高度な偽装をされてはケンシロウにトキを見破る術はなかったのだ。

正体が判明しても、尚、拳を交差する二人。
ケンシロウの拳がトキの拳を貫き、この闘いは終わった。
トキは語る。ゼンオウはあらゆる拳法を修め(たという設定が唐突に追加)た漢。
七つの秘拳で七つの死角を突かねば北斗神拳だとて勝機はない。

最後の秘拳は、北斗の柔拳だった。
得た秘拳は、闘勁呼法。

「行け、ケンシロウ! 光なき国に、伝承者の光を……!」

そう言い残し、トキは原作から数えて二度目の死を迎えた。

「トキ…… 北斗悲運の天才拳士……
 自らの身体を犠牲にして、オレに道を作ったのか……」

トォキィィィィ――ッ!!


ケンシロウの哀しい叫びが渓谷に木霊した。



第五章 完