1996 298M 
誰も知らないもうひとつの龍虎。
本当に誰も知らないまま消えたロバートが主人公の龍虎の拳外伝。

世はまさに3D格闘全盛期であり、
テクスチャーマッピングやモーションキャプチャーなる単語に人々は酔いしれ、
新時代の当来を満喫していました。
そんな中、発売されたこの龍虎外伝は3D格闘を2Dで作ってしまうという
実にチャレンジャー精神旺盛なチャレンジブルゲームでした。

しかし龍虎の拳の、スーパーリアル対戦の方向性のひとつの形が、
バーチャファイターや鉄拳などの格闘スタイルであったことは紛れもない事実。
見事に大コケしたこの龍虎外伝をどの龍虎ファンが笑えましょうか!

あっはっはっはっはっ

実際、初めて3D格闘をやった時に「あ、龍虎っぽい」と思った人も多かったはずです。
多かったはずです

これはもう完全に3D格闘のシステムで作られているので、
ボタン順番押しで出るコンビネーションや浮かせ技などが主体となっており、
ジャンプが弱かったり、しゃがんでいる相手は投げられなかったりします。
前述のモーションキャプチャーも導入されていて、
実際の人間の動きを取り込んで2Dで起こすという試みを行っていました。

しかし力感を感じないモーションが目に付いたり、
アニメパターンが多いわりに動きがギコちなかったり、
リアル路線のクセに裏拳や頭突きで垂直に浮いたり
まだまだ何がやりたいのかよく解らない、実験作的な印象を受けました。

結局、単調な殴り合いを繰り返しながら浮かせ技を当てて
空中コンボを決めるだけという作業めいたゲームになってしまい、
もはや必殺技など使う意味が見出せなくなっていました。
せっかくの気力、挑発システムが台無しです。

また小技でもカウンターで喰らうと大袈裟にダウンしてしまい
レバガチャで起き上がらなければならず、テンポ最悪の連打だるー状態。
これでは高橋名人でも手首が疲れてしまうでしょう。

リョウ、ロバート以外は総入れ替えとなったキャラクター群も
普通に目を引くキャラは行方不明の父を探してリョウを追って来た藤堂の娘、
藤堂香澄だけで……

分かったから親父を出せ!
という怒号を浴びました。

でもこの外伝の香澄はどうにも無個性なKOF版と違い、生意気で良かったりします。
先ほど「娘はいいから親父を出せ」などと書いたものの、
本音を言うと娘のほうが良いのは動かし難い事実である。
それにしても「龍虎2竜白リストラ事件」でマニアに囁かれていた
「藤堂失踪」が公式設定になっているところがスゴいです。
本当はただのリストラだったはずなのに……

他、年に一度、キャラクターの誕生日にだけ
そのキャラがパワーアップするという不思議なシステムもありましたが、
「今日はロバートのスペシャルディやで!」と意気込んでゲーセンに行っても
すでに龍虎外伝撤去済みであり、哀しみが木霊するだけの要素となりました。

ゲーセンで誕生日パワーアップを体験出来た人は世界に何人いるのだろうか……

外伝STORY

ド硬派な1、ポップでライトな2、そして外伝もまたガラッと雰囲気を変え、
主人公抜擢のロバートに合わせた世界観になっている。
しかし違和感はなく、このキザな空気が実に良い。これもまた龍虎だ。

基本的に3までの繋ぎのストーリーになっているが、
外伝は外伝できちんとひとつの物語を完結させている。
あらすじとしては、ロバートの幼なじみのフレアを
ワイラーという男のところへ送り届けることになったのだが、
そのワイラーがクセ者で…… といった感じだ。

主人公、ロバートはフレアを連れてグラスヒル・バレーへ。
そしてリョウはロバート行方不明との報をガルシア財団から受けてロバートを追い、
そんなリョウを追って藤堂香澄も…… のような感じに各キャラが絡んで来る。

ユリもリョウにくっ付いてデモのみで登場する。
今回のユリは2のやんちゃさと1のしおらしさが自然にミックスされていて良好。
KOFの印象が強いが、ユリのキャラクターは
この外伝で完成されたと言って良いだろう。人格統一である。

さてラスボスのワイラーだが、これがまた過激な男で、

試合前はこんな感じの美青年なのだがクスリを飲むと……
ぶぅおあぁ! オレは天才だぁ!
オレはどんな拳法も誰よりも早く修得できる!
媚びろ〜! 媚びろ〜! オレは天才だぁ!

となる。念願のあの人が格ゲーで使えると一部で大人気

ちなみに、相手の体力が少ない時に超必殺技を決めるという厳しい条件になったが、
今作でも脱衣KOは存在する。
しかもこの脱衣KOは決められると一本目でも試合終了即敗戦となってしまう、
恐怖のアルティメットKOとして完全にシステム化されているのだ。
相撲のもろ出しのようなモノだろうか。

でもこれ以上何を脱ぐんだろう……



sagittal画伯

PICKUP
100メガ
不破 刃
 
決め台詞 すごい漢だ。

極限流を狙う渋くてナイスな忍者キャラで、
如月影二のライバルとして登場した世にも珍しいムキムキ忍者
小賢しい忍術など使わず力任せにぶつかってくる漢の中の漢だ。
勝ちセリフ(対人戦後)も「すごい漢だ。」これは(ごく一部で)大流行した。

影二と同門だが、次期党首の座に影二のみがエントリーされ、
自分は無視されたという理由から下山、影二の首を狙う。
なんて陰険な漢だ
こんなイヤな忍者に追われる影二は災難もいいところである。

しかし、彼の使う技の奇妙さは他に類を見ぬインパクトを持ち、
SNKがたまに放つ真面目に作っているのにイロモノという
あのナインハルト・ズィーガーや風雲拳に匹敵するカリスマを誇った。


華麗に舞う不破さん

龍虎外伝の最重要技である浮かせ技も
不破は逞しい頭突きで、しかもなぜか垂直に浮き
彼が使う技の中で一番忍術っぽかった。
不破さんにはニュートンなど眼中にない。

【参考】 不破の拳
また、不破刃と言えば前述の風雲拳すら凌駕しかねない雄叫びが特徴だ。
勝ちポーズ、超必殺技等々いたる所でうおおぁぁああぁあ!!と大声で叫ぶが、
その中でも最高にやかましいのが死にボイスである。
不破さんの顔面にそっと隠してあるので突いて欲しい。
実にうるさく、そしてしつこい
ゲーセンで不破が死ぬとこの無駄にデカイボイスが店内に響き渡るため、
「ああ、不破が死んだんだな」と人々は和やかな空気に包まれた。

それにしてもこれ以上何を脱ぐのだろう……

彼も

洋画伯

PICKUP
100メガ
カーマン・コール
 
決め台詞 つまらん汗をかいてしまった

わざわざピックアップするほどでもないがキビキビした動きが気持ち良く、
そして名前が微妙なエージェント、カーマン。

しかしそんなことはどうでもよくいきなり本題に入るとこの人、必殺技の名前が長い。
ものすごく長い。辛抱たまらんくらい長い。

書き出してみると……

★ヘフティガー・シュトースアグリフ(当て身)
★ゲバルティガー・フーストリット・フォン・オーベン(対空蹴り)
★アオファインナンダーフォルゲンテ・ビュルフェ(連続投げ)


長い。THE KING OF FIGHTERS NEOGEO'S SOUNDTRACK
10th ANNIVERSARY MEMORIAL BOX
くらい長い。
THE KING OF FIGHTERS 10th Anniversary OFFICIAL WEB SITEくらい長い。

KOF2000以降にわけのわからんエージェントが増えているが、
それならいっそこの名前の長いおっさんを使ってやれば良いと思うのだがどうか。

PICKUP
100メガ
リョウ・サカザキ
 
決め台詞 身にならない試合だった。ガッカリだ。

一体何作出たのだろうか?
龍虎は当然、餓狼SP、ポリ餓狼、KOF全作に武力にカプエスにエスカプにNBCに……
確実に京よりも出演回数が多く、テリーにも肉薄するSNKの隠れた顔、
それがリョウ・サカザキだ。
回数ではなく、出演シリーズ数で見ればあのテリーよりも顔が広いのである。
決して本業シリーズが不人気なために職を転々としているわけではない。ないさ!

と言っても、それほど人気があるわけではないだろう。
リョウが特別に好き! リョウでなきゃダメ!
というファンがそれほど多いわけではあるまい。

ではなぜこのリョウが多くのファンに支えられているのかと言えば、その技だ。
極限流の重厚な技の数々が果てしなく硬派で、それでいてカッコ良いからである。
特に暫烈拳、覇王翔吼拳と元祖乱舞、龍虎乱舞。
暫烈、乱舞はともかく覇王翔吼拳て。
どこからセンスを捻り出したらこんなにイカす名前が現れ出でるのか。
並のセンスでは胃カメラを脳味噌に突っ込んでも見つかるまい。

黄鶏画伯

そしてそのいかつい名前達に全く負けない、
負けるどころかイメージ一体となって魅力を倍化させ炸裂する激しく重い奥義のSE、
ビジュアルに、魂が震えぬような輩はまさに貧弱の見本のような男。
初めて見たときにこれほどの衝撃を与える技はちょっと他にはない。
しかもそれを何個も持っている。最強だ。

対戦格闘という物はスト2が創ったが、必殺技を中心とした演出関係は、
この龍虎が創ったと言ってもあながち過言とも言えまい。
龍虎音とすら言われるあの爽快なHIT音は、
一度味わったら忘れられない危険なクスリのようなものだ。ハァハァ

キャラクター性以上に技を慕われている珍しい漢、
それが極限流の象徴たる、リョウ・サカザキその人なのである。

またそれゆえ最も大切な技の重さを再現してくれない
'96以降のKOFリョウには魅力がないのだろう。
姿形は同じでここまで魅力がなくなってしまうことに落胆とは別に、また驚きを感じる。

逆に言えば作品によって当然性能が違ううえ、
本家龍虎ですらタイトルによりゲーム性が全く異なるので
「これがリョウの闘い方だ」というような基本線のない彼ではあるが、
技の重ささえあればそれが極限流であり、リョウ・サカザキなのである。

さて、ではこの外伝のリョウはどうかと言うと、
お手軽な浮かせ技がない分、テクニカルで主人公ロバートよりずっと面白い。
ロバート使いは、主人公ゆえに入門用、
といった性能の彼の作業コンボで今作を見限る前に、一度リョウを使ってみるべし。
ジャブを上手く使った攻めが妙にリアル。カウンターで浮いたら空中コンボだ!

龍虎の拳3

外伝のエンディングで香澄や不破に日本へと誘われるリョウ。
リョウも日本へ行くことを約束するのだが……

そう! 日本と言えば2のラストで日本に渡ったあのギースが修行中ではないか!
もしかしたら藤堂の親父も日本に帰っているのかも知れない!
影二と不破の因縁もここで激突するのは明白!
ロバートとユリはEDでイタリアへ行ってしまったが彼らもきっと絡んで来るだろう!

ギースに当て身投げを伝授したというブルー・マリーの祖父、周防辰巳は!?
ギースを追うテリーの養父ジェフ・ボガードは!?
山田十平衛は!? 不知火半蔵は!?
リョウ達はなぜ餓狼の舞台でギースの悪事を見逃しているのか!?
うおぉぉっ!(ゲーム内容は別として)面白そうダゼ! 龍虎3ィィ!!


……虚しい。