考察 '95の餓狼ステージで炎が奔るのはなぜか?

闇を払うように炎が地を奔る、その名の通りの闇払いだが、
水に浸りながら行われる餓狼チーム'95との対戦時でも例外なく、
何事もなかったかのように煙を巻き上げながら
地面を滑って行くのはなぜだろうか?
相容れないはずの火と水が触れ合っているにも関わらず、
この水上を炎がどこまでも奔るという現象はいかに超自然的なオロチの炎とて不自然である。

だが、そもそもこれは本当に水なのだろうか?
本当にただ水辺で闘うというのであれば、
Gパンのテリーやラルフ、クラーク等はズボンが水を含み、とても不利になってしまう。
目に優しくない裸のジョーらが有利な展開になってしまうのだ。下手をしたら透けてしまう。
こんな理不尽があって良いのだろうか?

やはり一応、公平な大会であるはずのKOFで、
無意味に有利不利が表れる場所を戦場に選んでいるのは不可解だ。
何か公平なルールがそこにあるはずなのだ。
そこで私は足下を流れている水が実は水ではなく、そう言えば聞いたことがある。
“何か別の液体”なのではないかと推察するに至った。

ある文献によると、そこでは一風変わったオリンピックが行われており、
空中に浮いた巨大なふるいに入れられた男達が揺らされて落とされたり、
新幹線のホームを貸しきって新幹線を押し、それをどこまで滑走させられるかを競ったり、
子犬がいたのでそれを止めて失格になったり等、色々していた。

そしてその競技の中で一際目を引いたのが彼らの“水泳競技”である。
それは一見、普通のプールであり、ただ水泳の能力を競うだけに見えたが、
そのオリンピックに常識、社会的な影響を考慮という要素はなかった。


なにーっ
ガソリン――――!?



おわーっと
これはすごい競技であります!!

それはガソリンのプールを泳ぐ、恐怖の火炎地獄50メートル力泳だったのである!

この競技は実に凄惨で、スタート後5秒で聖火を持った係員がガソリンに火を放ち、
選手を荒れ狂う炎が追いかける。
選手が生き延び、この競技に勝ち残るには火よりも速く50メートルを泳ぎ切り、
ゴール地点にある小便小僧型消火器の局部を捻って消化しなければならないのだ。

悲しくも犠牲者となってしまった超人、
ウナギマン、サザエキング、イカデビル、ザ・ダンシャク(じゃがいも)等はこんがりと焼けただれ、
レスキュー体制も全く整っていなかったためそのまま焼死してしまい、
タザハマ氏も「うまそうですな」と喪に服す、大会中最大の惨事となった。

つまり一見、理不尽に見える'95の餓狼ステージも、
超人オリンピックという伝統行事を踏まえれば、
何の不自然もないれっきとしたデスマッチだったのである!

結論 オリンピックの名残り

炎は水ではなく、ガソリンの上を奔っていたのだ。

'95餓狼ステージは、ゲーム中は放送コード等で我々には見られないが
時間切れ時にはそこに聖火がくべられ、
やはり画面外にある小便小僧型消火器の局部を捻らねば
命を落としてしまう過酷な闘いだったのである。

キデ画伯

事実このデスマッチを有利と見た八神庵などはvsチン・ゲンサイ戦で調子に乗り、
餓狼ステージ限定で不可避かつ無慈悲な開幕永久コンボを編み出し、
続編の'96では主にクラーク選手がデスマッチを見越しての多彩な肉技を身に付けた。

2007辺りでは『ソードデスマッチ』や『浮遊装置入り空中立体リングデスマッチ』、
魔方陣リング装着デスマッチ』等も採用されていることだろう。
それを考えればガソリンの水辺で格闘程度は、自然にこなさねばならないのである。

(C)ゆでたまご/集英社